No.28『超能力』
佐原「根岸聞いてー!聞いておくれー!」
根岸「やかましい、どうしたよ」
佐原「超能力が使えるようになった!」
根岸「誰が」
佐原「俺!俺俺!」
根岸「へぇ」
佐原「まさか山田くんが超能力使えるようになったって俺が報告には来ないだろうよー」
根岸「まぁ、他の誰でもなくお前自身のことだろうなぁ」
佐原「座布団が念動力で運ばれてきたらびびるけどな!」
根岸「あぁ山田くんて笑点の山田くんか」
佐原「まさかお前そんな、里中が投げたボールが曲がってたのは山田の超能力のせいでもあるまいよー」
根岸「いやうん、ドカベンは別に想像してなかったけどさ」
佐原「というわけで、俺は超能力が使えるようになりました!」
根岸「うん、流れかけた話題をしっかり戻したね」
佐原「エスパーサハラと呼んでおくれ、略してエハラだ!」
根岸「江原、別人じゃんか」
佐原「そう、昨日までの超能力も使えない俺とはまさに別人!」
根岸「んで、何ができるようになったの?」
佐原「超能力が使えるようになったよ!」
根岸「ん……。うん、具体的にはどういった能力が?」
佐原「超能力」
根岸「んー?ちょっとよくわからないから、順を追って話そう」
佐原「うん」
根岸「佐原は」
佐原「うん」
根岸「超能力が」
佐原「うん」
根岸「使えるようになった」
佐原「正解!えちごせいか!」
根岸「越後製菓は置いとこう」
佐原「うん、置いといて」
根岸「んー、えーと……。あ、じゃあさ、使ってみてよ超能力」
佐原「使い方は知らん!」
根岸「はい?」
佐原「だから、使い方は知らないの」
根岸「超能力使えるようになったんでしょ?」
佐原「そうだよ?」
根岸「それ使えるようになったって言うのか?」
佐原「言わないのか?」
根岸「聞き返された……」
佐原「根岸だって英単語知ってるけど英会話できないでしょ、それと似た感じ」
根岸「……」
佐原「な!」
根岸「……?」
佐原「な!」
根岸「なんか一瞬納得しそうになったじゃないか。とりあえず超能力は使えないんだな?」
佐原「使えるよ!」
根岸「でも使い方は知らないんだろ?」
佐原「うん」
根岸「じゃあ使えないじゃないか」
佐原「いやだってさ、説明書とか無いし、どうすれば空中浮遊できますよーとか、知らないもん」
根岸「英単語だけ知ってて英文法を知らない感じか」
佐原「ああまさにそんな感じ、英単語はわかる!でもどうすれば意味の通る文章になるのかは知らない!」
根岸「んー……。つまり……」
佐原「超能力が使えるようになった!」
根岸「なってない」
佐原「エスパーサハラと呼んでくれ!略してエハラ!」
根岸「セリフがループしてるぞ」
佐原「時間を戻す能力!」
根岸「何か違う。っていうかさ、佐原はなんで超能力使えるようになったって思ったのさ」
佐原「思ったっていうか、わかったんだよ、超能力使える!俺!てな具合に」
根岸「わかったって、何で――」
佐原「超能力で」
閉幕
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