No.17『狩猟解禁』

佐原「ウホウホ、ウボボ」


根岸「ウッホウホ」


佐原「えー、ではこれより狩りの仕方を教える」


根岸「ウホー!」


佐原「返事はハイ」


根岸「はい」


佐原「狩りにおいてまず大事なのは」


根岸「大事なのは」


佐原「エチケットだ」


根岸「エチケット! なんか久々にその単語聞きました」


佐原「基本はみんな忘れがちだからな」


根岸「そういうことなのか」


佐原「次に」


根岸「次に?」


佐原「常日頃の健康管理」


根岸「健康管理!」


佐原「そうだ、狩りの現場で突然お腹が痛くなったら大変だろう?」


根岸「大変!」


佐原「胃薬を常備しておくのもいいかもしれないが、薬に頼りすぎるのもよくない」


根岸「なるほど」


佐原「続けて、大事なものは、武器だ」


根岸「やっと狩りの準備らしくなった!」


佐原「武器は自分の身の丈にあったものを選ぶように」


根岸「ふむふむ」


佐原「まちがっても初心者がアイロンとかは選んじゃいけない」


根岸「初心者じゃなくてもアイロンは選ばないような」


佐原「上級者になると家電で狩りするからね。俺の愛用武器はミシン」


根岸「ミシン!」


佐原「の針」


根岸「針! 一寸法師か!」


佐原「俺ほどにもなるとミシン針で十分倒せるからね」


根岸「すごいなぁ」


佐原「根岸は近接武器と遠距離武器とどっちが好みだ?」


根岸「前線で戦うか、後ろから援護するかってことですね」


佐原「そうだ、わかりやすく例えるなら、パンツとブラの関係と同じだな」


根岸「最高にわかりにくくなった。 どっちかというと、後ろからの援護のほうが性にあってる気がします」


佐原「そうか、なら遠距離武器だな」


根岸「はい」


佐原「根岸はまだ初心者だからな、最初は核ミサイルとかでいっとくか。核ミッソー」


根岸「核!」


佐原「狙いとかも適当でいい初心者用武器だな、威力も高い」


根岸「……もうちょっと、中級者向けっぽいのがいいです」


佐原「そうか、核ミッソーは簡単すぎるか」


根岸「打つまでが大変そうではあるけども」


佐原「国家間のあれこれとかなんて、無視すればすぐ打てるぞ?」


根岸「いや、とにかく核ミサイルは遠慮します」


佐原「しかし遠距離武器の選択肢はミサイル系か輪ゴムしかないぞ?」


根岸「ちょうどいいのがまるでない!」


佐原「じゃあやっぱり近距離武器にしておくか?」


根岸「そうしておきます」


佐原「近接武器は充実してるぞ、なにしろ狩りの華だからな」


根岸「ほう!」


佐原「ナイフ系だろ、刀系に、脇差系、太刀系に小太刀系、あと秋刀魚」


根岸「やたらと刀が充実してるなぁ、最後のは魚だけど」


佐原「ソードにランスにハンマーにパンツにアックス」


根岸「さらりとパンツ混ざった」


佐原「こんなところかな、まあカッコいいのから面白いのまで、いろいろあるな」


根岸「パンツはどうやって攻撃するんですか」


佐原「被るか、被せる」


根岸「なんの意味があるんだ」


佐原「怒らせて冷静さを失わせたり、社会的地位を落としたりできるぞ」


根岸「ああ、補助系なんだ……パンツ」


佐原「仲間に一人はパンツ使いがいると狩りが楽になるな」


根岸「でもやだなぁ、パンツは」


佐原「根岸は狩りはまだ初心者だからな、小太刀あたりが防御力も高くていいんじゃないか?」


根岸「とりあえず死なないように、ですね」


佐原「まあ、死ぬことはそうそうないと思うけどな」


根岸「おー、これが小太刀かー、かっこいー」


佐原「じゃあ、行くか、狩りに」


根岸「おす、がんばるぞー」


佐原「紅葉か、キノコか……、初心者はまずは紅葉狩りかなー」


根岸「え!?」


佐原「ん、不満か? でもいきなりオヤジ狩りとかはハードル高いしなー」


根岸「え、いや、なんか、アレは、恐竜みたいなモンスターは?」


佐原「居るなら俺が見てみたいわ」


根岸「じゃ、じゃあ小太刀は何のために!?」


佐原「狩りだろ?」


根岸「紅葉狩りのどこで小太刀を使うんですか!」


佐原「ミシン針だって使わねぇよ!」


根岸「そりゃそうだ!」





閉幕

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