5話 超自然的な力?

 夕食の席でのこと。

「友紀、今日のソウ君との話どうだったか?」

 聞いてきたのは父さんだ。

「いつもの通りだったよ」

 自然とにこやかに返した。

「そうか」

 その話を聞いていた母さんの目元が笑っていた。兄さんも同じだった。二人は顔を見合わせた後、こっちを向いた。このやり取りは、何だろう?


 風呂から上がった後は、1週間の復習をメインにやった。そのあと明かりを消して、ベッドの中に入った。


 布団の中で考える。この姿になってから、2日が経った。元の姿には戻らないのか? 仮に元の姿に戻った場合は、ふだん通りに過ごせばいい。問題なのは、いつまでこの姿のままなのかということだ。といっても、戻る目途がつかないうちは、この姿でいるしかない。ため息を吐いた。わかってはいるけれど、受け入れがたい。

 原因は……? いや、考えにくい。けれども「超自然的な力」が働いたとすれば……。もちろん、通常では考えらないことだ。じゃあ、どうして起こった?!

 考えてもきりがなかった。考えるだけでも苦しかった。ここは闇雲に考えるのは得策ではなさそうだ。睡眠の欲求に従おう。



 日曜日だ。眠い目を擦る。

 また夢を見ていたようだ。目を背けたくなったが、正面から捉えて、逃げてはいけない気がした。

 体の感覚からすると、きょうも元の姿ではないようだ。モヤモヤするけれど、諦念ていねんまではいかない。とりあえず、ゆきとして生活しよう。

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