第39話 Marry

2人は瑛斗を見て涙を流した。そして2人は瑛斗の腕に抱きつき泣いた。今まで抑えていた感情をすべて瑛斗の腕にぶつけた。


「もう!本当心配させて!死んじゃったかと思ったじゃん!」


「ごめんな…、なんか葵の声が聞こえてさ。戻って来れたんだよ」


「え?私の声?」


「あぁ、早くこっちに戻ってきて、ってはっきり聞こえたよ」


「瑛斗…!」


葵が再び瑛斗に抱きつく。その時に葵の胸が瑛斗の腕に当たるが今はそんな事を気にしてる場合では無い、いや少し大きくなったかな?いやいやそんな事よりも!!


「ごめんな、アリスも心配させちゃって…」


「ううん、大丈夫よ。意識を取り戻してくれて良かった…」


葵とアリスがベットに横になっている瑛斗の体を起こした。サタナキアと戦っている時の瑛斗のあの赤い目はもうすでに収まっており普段の目の色に戻っていた。


「エイト、お腹すいてる?」


「うん、今なら毎回でてくるあの量でも3分くらいで食べられるよ」


「じゃあ持ってくるね。ちょっと2人で待ってて!」


アリスがそう言うと小走りで部屋の出入り口へと向かいドアを開け、瑛斗の食事を取りに向かって行った。アリスはすれ違う人すれ違う人、瑛斗が目を覚ました事を言っていった。それを聞いた人たちは自分のことのように喜んでいた。アリスは調理場へと向かって行った。


アリスの部屋には瑛斗と葵、2人きりだった。瑛斗が目を覚ました事を喜んでいた葵だが何故か緊張して話せずにいた。アリスに言われたの事を2人きりの時に言おうか迷っていたのだった。


「あ、あのさ、瑛斗」


「ん?どうかした?」


「そのー…やっぱいいや。あとで話すね」


「なんだよー、気になるじゃんか。今言ってよ」


「あ、あとで言う!アリスちゃんが来たら言うね」


「わかったよ、絶対だからな」


「うん、絶対!」


2人はアリスが食事を持ってくるでほとんど話さずにいた。待っている間、アリスが「瑛斗が目を覚ました」という事を言い部屋に色々な人たちが来た。その中に、アリスの両親がいたのだった。そしてアリスの両親たちとアリスが来るのを待った。


「お待たせ〜!持って来た…よ?なんでここにお母さんとお父さんいるの?」


ドアを開け、閉めると片手に食事を持った状態でアリスは両親を見ていた。


「エイトが起きたという事を聞いたんだ。それとちょっとだけ挨拶にね」


「初めて会ったけど、なかなかのイケメンね。アリス、この子と結婚すればいいじゃない」


「あ…そっか。2人は初めて会うんだっけね。私のお父さんとお母さん!」


アリスが近くにあった机に食事を置きアリスの両親を紹介してくれた。アリスはどちらかといえば母親に似ていた。髪色も母親の影響らしい。


「アリスちゃんって、お母さん似なんだね」


「そうなのよ。目の色以外、私の影響受けちゃったみたいで。性格はこっち似になのよ」


アリスの母がそう言い隣にいる父を指差した。アリスの父親は何故か照れてしまっていた。


机の上に置いてある食事を瑛斗の元に持って行き、食事を瑛斗に渡した。メニューは瑛斗の大好物の食事。いただきます、そう言うと瑛斗は食事を食べ始めた。


「3分で食べられる」と瑛斗は言っていたが本当にそれに近い時間で大盛りの食事を食べきった。


「お腹いっぱい…一気に食べ過ぎた…」


「エイト、ずっと無言で食べ続けてたもんね。相当お腹空いたんだね」


「アリスちゃん、2日も寝てたら誰でもお腹空くと思う…」


「あ。確かに…。そうだったね…」


アリスが食べ終わった食器類を持ち再び机の上に置いた。ベッドの元に戻り、アリスは葵を見た。を伝えるために葵にアイコンタクトを送る。葵が頷いたのを見てアリスが瑛斗に話しかけた。


「エイト、ちょっと聞いてもいい?」


「うん。大丈夫だけど…どうしたの?」


「エイト…私達と結婚とかって…出来る?」


「え?け、結婚?私達と?」


「うん…一応この国、一夫多妻制なの。この事はもうアオイちゃんには話してあるの。後はエイト次第…って事なの」


「そ、そんな急に言われても…アリスの両親がなんて言うか…」


「全然いいわよ〜」


「私も構わん」


軽っ!それを聞いた瑛斗はそう感じていた。瑛斗はしばらく悩み、そして部屋には無言の時間が続く。




しばらく経ち瑛斗が重い口を開いた。


「アリス…」


「う、うん?」


「俺、決めたよ」


アリスと葵が唾を飲む。瑛斗は2人のことを救ってくれたアリスに感謝したかった。初めて会った2人をここまで受け入れてくれて、優しくしてくれた。その事を考えたら、答えは1つだ。


「結婚するよ。よろしくな、アリス!」


そう、瑛斗は微笑みながら言ったのだった。

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