第6話 ベータ

俺は急いで何軒かリサイクルショップに足を運んだが、カゾコンを置いてる店はどこにも無かった。

なんか現代版にアレンジされたカゾコンはあったんだけど、俺が欲しいのはそれじゃなかった。

”俺が欲しいのはそういうカゾコンではないんだ!あの時のカゾコンが欲しいんだ!”

俺は、断固として譲らなかった。

なんとしても、あの無骨なボディのカゾコンを手に入れたかったのだ。

ソフトだけは少し置いてあったので、気になったものは片っ端から購入した。

しかし結局、本体を見つけられなかった俺は、そのままお預け状態を食らったのだった。


もはや運命の出会いなんてロマンチックな事を言ってられなくなった俺は、やむなくヤフオクで即決した。

……。うん、これで良かった…。良かっただろ…そうだろ…?


それからの俺はヤバかった。

バイトから帰ると、毎晩取り憑かれたようにFファイトをプレイ、ハーガで全クリを繰り返していた。

慣れてくるとコージィよりもハーガの方が良い。

これは、俺がたどり着いた答えの一つだ。

こうなった俺を止めるのは誰もいなかった。

あれからヌリオカート、ドラゴンクヱスト、ダンディコング……。

数々の名作を、人知れずクリアーしていった。

特にヌリカーの250cc、虹色ロードへのこだわりはヤバかった。

毎晩毎晩走りまくったせいで手にまめが出来たほどである。


さらに困ったことに、俺はそこからブレインステーション(通称 ブレステ)にも手を伸ばした。

アーワザラッド1、2。

これをクリアした時の満足感といったら、本当にヤバかった。

なんか、すごい人生経験をした気がした。

まぁ、ロマンスストーンを回収できなかった時の絶望感は半端じゃなかったけどね。

こういう時って、時空を超越できる力が欲しくなるよね。切実に……。

それから更に走り出してしまった俺は、ついに念願のセカサタンにも手を伸ばした。

このセカには、他のハードには無い”愛すべきクソゲー”が山のようにある。

確か??楽しかったようなぁ~…??と、軽い気持ちで手を出すと痛い目に遭う。

それは記憶の美化に過ぎず、あくまでクソゲーの域を出ない。

だが、それが愛おしいのだ。

Sorrys!という俺にとっての大きな存在の埋め合わせとして、これまでにも多くの作品たちが俺の背中を後押してくれた。


……おっと。


気付けばここまでゲームの話しかしていないな。

いけない、いけない。

先に言っておくけど、これはほんの一部だからね?

ゲームばっかりしてたわけじゃないからね。嘘じゃないよ……。


俺はそんなこんなで、G徳寺の駅前までやって来た。

ここまで来ればスーパーやらコンビニやらファーストフード店やら、なんでも揃っている。

俺は目当ての牛丼を手に入れるために、ダイスキ屋の方に向かって歩みを進めた。

しかし、ここで俺は思いもよらぬ光景を目にした。


…。


っ!?


「あ、あれは……アーク…?」

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