第13話 島暮しを考える
「今日はご馳走様でした。お土産沢山ありがとうございました」
車で自宅にご夫婦で送ってもらい、自宅の中にお土産を運び入れてもらった。
運転席の窓越しに、九十三さんにお礼を述べる。
「今日は実に有意義な時間を過ごさせてもらったよ。こちらこそありがとう」
「私も楽しかったわ。またいつか一緒にお食事したいわね」
助手席に座る奥さんが運転手席の窓に顔を向けて話してきた。
「はい。私も楽しかったです」
「一年は待つから、焦らず考えてみて。遠慮しないで疑問に思った事は、その都度質問してくれていいし、島暮しの当面の費用は叔母の遺産で賄えるから心配いらないからね」
「はい。考えてみます」
「じゃあおやすみなさい」
「おやすみなさい」
「戸締りきちんと確認してね。おやすみなさい」
「おやすみなさい。帰り道お気をつけて」
「ありがとう。じゃあまたね」
走り去る車に手を振る。車の後ろしか見えなくなったら、九十三さんが後ろ向きに2~3回手を振ってくれた。
「さて…冷凍庫と冷蔵庫に仕舞うわないといけない物を仕舞わないと」
片づけながら考える。
降ってわいてきたような話で実感が湧かない。
でも考えてみよう。
まずは冷凍食品を片付けてから、お風呂のお湯を溜める事にした。
その次は冷蔵庫に仕舞うものを仕舞い、それから常温で大丈夫なものを玄関から台所の前に段ボールに入ったまま移動させる。
いつも通り脱いだ物を洗濯機に入れるが、夜に風呂に入るのは夏位なので着替えるだけで、回すのは明日の朝のシャワーの後。
直ぐに就寝しない休日の夜は裸ではなく、ルームウェアにもなる赤毛のアンが着ていそうなシンプルな綿で出来たワンピースを着る。
島暮し…正直あまりピンとこない。
明日から仕事が始まるし、一年ゆっくり考えてと言われているんだから、取りあえず疑問に思う事を質問していこう。
今の会社ではキャリアウーマンにも、兼業主婦を目指すにも無理があるし、立ち止まって将来を考えてみるにはいい機会かもしれない。
「う~ん、美味しい」
お土産の中には、叔母さんが育てたハーブで作られたドライハーブもあった。
少量だけど、予めブレンドしてハーブティとして飲めるようにした物が瓶に入った物を数種類と、出汁パックに入れた物を入浴剤に使うといいとジッ〇ロックに入れた物も数種類いただいた。
その中から、就寝前という事もありカモミールティーをいただいてみた。
カモミールローマンは苦いので、カモミールティーと呼ばれている物のほとんどがカモミールジャーマンで、安眠以外の効果は知らなかったけど、抗ヒスタミン効果とか月経の深い症状を和らげたりとか、他にも色々女性に優しい作用をするハーブらしい。
九十三さんの叔母さんの島での暮らしはどんなものだったんだろう?
お茶を飲み終わってから、ベッドに入った。
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次回から、具体的に島暮しの現実と向き合う事になります。
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