第11話 叔母さんの保存食・洋食編

 「用意できましたよ~」

 「じゃあ移動しようか。食事しながら話そう」

 「はい」


 何か伏線はあったかな?

 

 「うわ~凄いですね~」

 「叔母さんが自分用に作っておいた保存食を並べてみたのよ。合いそうなご飯とかパンとか主食は私が作ったの」


 ジャムとか、漬物とか、何か分からない佃煮とか、食べないと分からない物も個人の食事スペース以外は、並べた食材で埋め尽くされていた。


 「叔母はね、定年前から島で暮らして、最初は自分の分だけ自給自足していてね、保存食が最初の頃のライフワークだったんだよ。必要にも迫られていたらしい」

 「私叔母さんの梅酒のファンだったのよ~残りが無くなったらもう飲めないと思うと寂しいわ…」

 「漬ける酒が通常ホワイトリカーなんだけど、薬臭いからどうも好きになれないけど、叔母のはウォッカを使っているから、余計な味がしないんだよね」


 うるうると奥さんが梅酒の瓶を見て泣きそうになっている。

 他にもウォッカで作った果実酒が沢山並んでいた。


 「叔母は他にも梅・桃・桜・栗・柿・林檎とか、北海道で育てられる実のなる木はほとんど育てていてね、それで保存食や酒を自分用と僕達が個人で楽しむ分も作ってくれてたんだ」

 「島は天気が悪いと、何もする事がないから保存食が増えるって言ってたわ」

 「そんなにお隣迄遠いんですか?」

 

 う~んと少し悩んでからご主人が話し始めた。


 「叔母の住んでいる島の住人は、最初は叔母、次に犬とその面倒を見る人、次に猫と猫の面倒を見る人が移り住んで、引退した獣医もいたかな?最大で6人住んでいたんじゃないかな?今は犬が10頭と猫が30匹とそれぞれの面倒を見る人が犬が最大二人、猫が最大三人じゃなかったかな?今は交替で島に来るみたいで住んでるわけじゃないらしいよ」


 聞けば聞く程に謎が深まる。


 「叔母さん所有の島なんですか?」

 「まあ色々あるんだけど…そう思ってもらっていいと思うよ」

 「最初は無人島で、発見したのは叔母さんよね?」


 頭がついていけない。


 「ごめん。ごめん一気に話してついていけないよね」

 「さあさあ、色々食べて。ビュッフェ形式でいいわよね?好きなものを自分でどんどんとって食べてちょうだいね」


 私たちは長細い10人位座れるテーブルの長い面の片方に三人で座り、反対側に並べてある食べ物を取りに行く形になっている。

 料理というか保存食と、小皿が沢山並んでおり、隣接してあるワゴンに使い終わった食器を各自置いていく。


 梅・桃・さくらんぼ・林檎・栗・苺・ブルーベリー・葡萄を始め20種類位のジャムが入った瓶と、生クリーム、クローテッドクリームは市販品だそうで、調味料なしの生クリームとバターの中間の味。

 洋食の主食は食パン、クラッカー、フランスパン、カンパーニュ、黒い食パン、ワッフル、スコーン、ビスケット、ベーグル、クレープの生地、これら全て奥さんが叔母さんに教えてもらったレシピで作った物。

 叔母さんの家には業務用の冷凍庫があり、そこから持ってきた冷凍コンポートも沢山あり、それを使ってミキサーでアイスクリームのようなものを作ったり、マロングラッセや市販のチョコでセルフでパフェを思いのままに作った。

 

 洋食の保存食と主食でこれだけ並んでいるバイキングもしくはビュッフェって他にあるんだろうか?


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和食編は19日更新予定です。


 

 

 

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