第2話
第2話
目を開けると、俺はリビングに立っていた。
なんでリビングに立ってんだ?
夢遊病なのか俺。
ドアを思いっきり沙百合《さゆり】が開けていた。
「あ! お兄ちゃん」
「お兄ちゃん!?」
今、お兄ちゃんって呼んできたよな!?
沙百合が、あの無言だった
「私ね、お兄ちゃんのことが………」
俺は固唾を飲んで、妹の喋る言葉に耳を傾けていた。
「俺のことが?」
沙百合は俺と目が合うと、いきなり下を向き出して床に向かって何か囁いていた。
「だい……………好きなの」
「すまない、もう一度言ってくれるか?」
だい、すきなのって何? 台が好きなのか?
顔を真っ赤にして、俺の目をいつもと同じように見つめて叫んできた。
「だから、私はお兄ちゃんのことが大好きなの!」
「…………………!?」
大好きだと!?
俺の事を
いや、ないない。絶対に聞き間違えだから。俺を好きになるわけ無いだろ?
いつも俺を見るなり避ける沙百合が俺の事を大好きなんて。
俺は沙百合を見ると、沙百合は顔を真っ赤にして俺の目を見た瞬間に抱きついてきた。
「お兄ちゃん好き!」
「あ、あの
中学生だから、さほど胸は無いはずなのに、小さい柔らかなものがさっきから当たってるんですけど!?
心臓がドキドキしてる。妹なのになんでこんなに緊張するんだよ。
「さ、沙百合は本当に俺の事好きなの?」
「うん! 初めて会った時から大好きだった」
本当に!? 沙百合が俺の事を好きなのは嘘じゃ無いのか。
沙百合が、あの沙百合が………
あぁ、やっぱり沙百合は可愛いな。でも、沙百合は俺の妹だ。
俺は決めている、兄妹の境界線は超えてはいけない事を。
抱きついている、沙百合を嫌々離しながら、沙百合に面と向かって話した。
「俺たちは兄妹なんだ、沙百合」
「知ってる。………それでも私はお兄ちゃんの事が大好きなの!」
「さ、
「私は大好きなの! お兄ちゃんの事が大好きで、大好きでたまらないの!」
いや、こんなに好感度が高くなっていたなんて予想外だ。
あんなに無口だった沙百合がこんなに俺の事を思ってくれたなんて。
けど、血は繋がってなくても、兄妹なんだ。そこだけはダメだ。
頭を床につけて、沙百合に向かって土下座をしながら言った。
「すまない! 俺達はそれでも兄妹なんだ!」
「お兄ちゃんなら私と………」
そう言って、沙百合は俺の顔を上げさせて、自分の顔を俺に近づけた。
「さ、
「ふふふ、お兄ちゃんなんて大っ嫌い!」
だんだん沙百合の顔がつかずいてきて、俺は思わす目を閉じてしまった。
「
思いっきり叫んで、目を開けるとそこは、見慣れたエロゲーに囲まれた俺の部屋だった。
「………夢なのか?」
「………………」
アァァああーー!!
俺は何であんな夢を見ていたんだ!?
沙百合と俺が………
思い出すと、顔をが真っ赤になっていくのを感じた。
まだ抱きつかれた感触が残ってるんだけど。夢だったんだよな!?
「もう、どんな顔して沙百合と会えばいいんだよ!」
キモいだろ? 夢で妹に告白される展開の夢を見るやつ。
少し、昨日のエロゲーに似てたし。
やっぱり、そんな下心を妹に出してるって事なのか?
いや、
だけど妹と境界線を越えたいなんて思ってない、思って無いはずだ。
「今何時だ?」
時計を見ると、6時丁度になっていた。
朝作らないと………
ご飯は俺が作っているので、もちろん朝も昼も俺が作らないといけない。
散らかっている毛布をベッドに綺麗に畳んで置いて、部屋から出た。
階段を降りていると、沙百合と鉢合わせしてしまった。
「お、おはよう、
沙百合は何やら顔を真っ赤にして、いつもだと目を見て語ってくるが、今回は下を向いて何やら囁いていた。
「………………………」
「大丈夫か?」
いつもの沙百合じゃ無い気がするんだけど。
体調でも悪いのかな?
沙百合に駆け寄って、沙百合の目が見える近さまできていた。
「熱でもあるのか?」
沙百合は頭をブンブン横に振って、俺の目を真っ赤になりながら見てきた。
「……………………」
今のは「大丈夫だから! お兄さんは早くご飯を作って」と言っている。
「大丈夫ならいいんだけど」
沙百合は何やらブツブツ言いながら、自分の部屋の扉を思いっきり開けて、部屋の中に消えていった。
なんかすごく顔を赤くしてたな。
俺の顔を見て、キモいなと思って怒ったのかな?
沙百合はいつもだとあんなに赤くならないのに。
俺が触るか、すごい近くに行った時ぐらいだよな、赤くなる時って。
その後、すぐさま部屋に戻っていくから、多分、俺の事が嫌いなんだろう。
それもそうか、血の繋がってない兄なんて好きになれないよな。
そんな事考えながら、弁当と朝食を作るために台所に立っていた。
ため息をつきながら、朝の食事と弁当を作っていた。
「はぁ、
今日は朝、喋りかけてみようか。
いつも沙百合は無言だから、喋ると嫌われるんじゃないかと思って怖くて話しかけれなかったけど、何にもしないのは良くないよと思うし。
昨日のエロゲーの主人公も兄妹なのに、勇気を振り絞って告白したんだし。話しかけるぐらいなんて事ないよな。
「今日も上手く作れた!」
今日の朝はシンプルに目玉焼きとベーコンとトーストである。
朝と昼は日本食じゃなくても別にいい。夜が肝心なんだ。
上の沙百合の部屋に向かって、ダイニングに入るドアから顔だして叫んだ。
「沙百合さん! 降りてらっしゃい」
何回か物音がして、ものすごい速さで部屋を出て階段を降りてきた。
ドアを開けて顔を出してたから、沙百合が冷酷な目で俺を睨んでいた。
「…………………」
「お兄さん、キモいからその言い方はやめてください」と言っている。
沙百合にキモいとか言われると本当に心が傷つくな。声で言われていたら、首を吊っていたところだ。
沙百合は目を背けて、ご飯が並べてあるテーブルに座り、静かに食べ始めていた。
俺も慌てて、椅子に座り沙百合に話しかけてみた。
「さ、
沙百合はいつもと同じで、無言のまま橋を置いて、俺を見つめていた。
「…………………」
やっぱり喋ってはくれないよな。
夏までには喋れるようになりたいな。
海とか、山とか花火大会とかに一緒の行きたいし。
それより
ご飯を食べながら、ポカンと考えていると沙百合がものすごい形相で睨んできていた。
「……………………」
あ、さっきの無言のは「うん、学校だけど?」である。
それで今のが、「お兄さんは誰の事を考えてご飯を食べてるんですか?」だと思う。最近は俺の感じ方は大体あってるが、たまに間違ってることもある。テレパシーを使ってるわけじゃないから。
「いや、家族のことだよ!」
そう言って
「…………………」
「本当ですか? ………お兄さんを信じてますからね」と言っている。
流石に通訳疲れるんだけど。それにお兄さんを信じてますからねって何を信じるんだ沙百合は。
沙百合は髪が少し銀髪が混ざっているので白い肌と制服が合って、可愛さがさらに増していた。
自分の制服を手で少し隠しながら、沙百合は顔を赤くしながら俺の目を見てきた。
「…………………」
「お兄さん、似合ってると思いますか?」と言っているが、似合ってる以外に言う言葉がなく沙百合を眺めていた。
「……………」
「お兄さん?」 と首を傾げて
自分でも顔が赤くなっているのをわかりながら沙百合に囁いた。
「か、可愛いな似合ってるよ」
「っぅ…………!」
沙百合はそれを聞いた瞬間にビックっと反応して顔を今までないくらい赤くしながら、ポカポカと殴ってきた。
「
沙百合は慌てて時間を見ると、驚いた表情をしてカバンを持って玄関のドアを開けていた。
慌てて
「沙百合! いってらっしゃい!」
ドアを開けながらこちらの方を見いて、可愛い笑顔で微笑みながら何か口走った後、すぐに出かけてしまった。
「…………………」
俺は聞き逃さなかった。
確かにさっき
「お兄さん、いってきます!」そう沙百合の声が聞こえた気がした。
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