第五話 覚醒

「うっ……」


 薄く瞼を開いた途端、眩い光が目一杯に射し込んでくる。


 徐々に目が慣れてくると、そこには見知らぬオフホワイトの天井がじっと静かにこちらを見下ろしていた。


 少女はおもむろに首を動かし、周囲に視線を巡らせる。


 一体何に使うのか判らない電子機器や薬品棚などがたくさんしつらえられた、無菌室のような混じり気のない白一色に閉ざされた空間の中で、自分は仰向けになって寝ていた。


 思わず身体を動かそうとしたが、小さく開かれた短い四肢の先端には、それぞれめられた銀色の鉄輪かなわが身動きを取れぬように検査台にしっかりと固定されていた。

 自分の身に何が起きたのか。必死に脳の奥から記憶を絞り出そうとするが、どうしても何も思い出せない。自然と浮かび上がる重要な情報といえば、誰かに与えられた自分の名前——ティアと、あの日起きた悪夢のようなレイスロイドたちの大暴走のみ。


 自分は確か、突然暴れ出したレイスロイドたちになぜか追われ、大都市オルティアから命からがら逃げてきたはずだ。それから先のことが、頭の中にもやがかかったように全く思い出せない。


 あれからどれぐらいの月日が経過したのだろうか。恐ろしく長い時間、ずっと眠っていたようなそんな気がする。


 だが、ここでいくら考えても仕方がない。ひとまず今は、この状況をどうにか打開しないといけない時だった。


 不意に、隣の部屋からスライドドアのような開閉音が聞こえて、誰かがこちらに近づいてくる気配がする。


 ティアは思わず緊張の視線を向けると、部屋に入ってきたのは自分より少し身長の高い赤髪の少女と全身に青い光沢を放つ装甲をまとった青年だった。


 こちらが起きていることに気づき、二人は少し警戒心を含んだ足取りで慎重に近寄ってくる。


「よかった、目が覚めたのね。とても信じられないけど、ざっと見た感じどうやら暴走の心配はないみたい。今ロックを解除するから、ちょっと待ってて」


 少女は検査台の脇にある操作盤を動かし、ティアの身体を拘束している手枷足枷を解除する。


 ようやく自由の身になったところで、ティアはすっかり脱力した上体をおもむろに起こす。


「ここは……。私は一体……」


「そこにいる彼が集落近くの洞窟で倒れているあなたを見つけて、この反乱軍の基地までわざわざ運んできてくれたのよ」


 少女に親切な口調でそう言われ、ティアは彼女の傍らにボディガードのように佇む青装甲の青年の顔をまじまじと見つめる。


「……なんだ?」


「す、すみません……。その……どこかで一度、お会いしたことがあるような気がして……」


 しかしそれに対し、青年は七面倒そうに深く嘆息する。


「残念だが、それはお前のとんだ勘違いだな。俺は一年前に始動したばかりのレイスロイドでな。お前と会った覚えは一切ない」


「そう……なんですか……。……あなたも私と同じ、レイスロイドなんですね」


 すると、その言葉にぴくりと敏感に反応した赤髪の少女が、興味深げにこちらに顔を近づけてくる。


「起き抜けのところ申し訳ないんだけど、どうしてあなたはあの洞窟で行き倒れてたのか、早速話を聞かせてもらってもいいかしら?」


 その直球的な質問に対し、ティアは今にも消え入りそうなほどの弱々しい声で答えた。


「ごめんなさい……。それが、ほとんど何も思い出せないんです……。レイスロイドたちの暴走が起きたあの日、私は確か彼らに追われてオルティアから必死に逃げてきました。そこの前後の記憶が一切なくて……。唯一覚えていることと言えば、自分の名前ぐらいで……私、ティアと申します」


 相手が期待するような情報を引き出すことができず、失望されてしまうのは目に見えているかと思われた。


 しかしそれはほんの一瞬のことで、少女はとてもそんな落胆の色を微塵も感じさせない柔らかな笑顔で頷いた。


「ティアちゃんね。レイスロイドのあなただけどうして暴走しなかったのか理由は判らないけど、他のレイスロイドに襲われたショックでの一時的な記憶障害ならそのうち回復するかもしれないし、今は気長に様子を見ましょ。この件については私が上に報告しておくから、あなたはしばらくこの基地で身を隠すといいわ。ここなら外よりは比較的安全だしね。——そうそう、あと自己紹介がまだだったわね」


 改めて姿勢を正し、彼女は軽く胸に手を当てて答えた。


「私はナツリ=ライト。年は十三歳。ここでは皆から、ナツリ、って普通にそのまま呼ばれてるから、気軽にそう呼んでくれて構わないわ。で、こっちが仕事のパートナーのレイン。レイスロイドにしては珍しく冷たい奴だけど、実際感情を表に出すのが苦手なだけで根は優しいから何も気にしなくていいわ」


「…………」


 勝手に紹介されたことが余程不満だったのか、レインという青年はあからさまに不貞腐れたように顔をしかめる。


 とりあえず互いに自己紹介が済んだところで、ティアはどうしてもまず彼らに訊いておかなければならないことを口にした。


「すみません、こちらからも一つお訊きしたいことが……。レイスロイドたちの暴走が起きてからその……一体どれくらいの時間が経過したんでしょうか……?」


 するとそれに対し、ナツリが少し言いづらそうに顔を曇らせる。


「……もうかれこれ二年よ。私たち反乱軍はあの日起きた出来事を世界崩壊アストラル・コラプス、とそう呼んでるわ」


 その衝撃的な事実に、ティアは内心激しく動揺を禁じ得なかった。


 つまり自分は二年もの間、洞窟の中でずっと深い眠りに就いていたのだろうか。そこに行き着くまでの空白の間に、一体自分の身に何があったのか。あまりに残酷な時間の流れに、思わず涙が溢れ出しそうなほどの悲痛な気持ちになる。


 そんなこちらの心情をすぐに察したのか、ナツリが話題を逸らすように活力に満ちた声で言った。


「さて、ちょっと早いけど、今日はもう一日の汗を流しに浴場に行きましょ。そんな汚れた恰好じゃいつまで経っても元気出るものも出ないだろうし。——それに女の子は、なるべく見た目に気を遣ったほうがいいしね」


 彼女にくすりと笑われ、ティアは思わず自分の身体を見下ろす。


 確かに着ていたはずの白いワンピースはなく、今は一糸まとわぬ姿で象牙の肌が完全にあらわになっていた。


「きゃっ!」


 羞恥に身体を抱いた少女の可愛らしい声が、室内に甲高く響き渡ったのだった。


    ∞


 それからナツリたち三人は一度兵舎バラックに戻り、自室で風呂の支度を淡々と始めた。ティアの身体のサイズにぴったりの白のジャージがちょうど余っていたので、ナツリはそれを彼女に貸してあげることにした。

 レインに関しては、「俺は部屋にいる。お前たちだけでゆっくりしてこい」と相変わらず風呂に入るという概念は彼にはからっきしないようで、結局ナツリとティアだけで浴場に行くことになった。


 二人が早速足を運んだのは、兵舎に隣接された共同浴場だ。


 水はここから北西の位置にある森林地帯の河川ダムから基地の隣に併設された浄水場へと送られ、そこで生まれ変わった生活用水によって今も人々の命がまかなわれている。

 基地内の女性職員が男性と比べて非常に少ないため、今日も脱衣所は誰もおらず閑散としていた。


 木製の脱衣棚の中に置かれたとうのランドリーバスケットに少女たちはそれぞれ荷物を入れ、自分の衣服を脱いでいく。ティアは借りた新品の白ジャージのファスナーを下ろすと、彼女の上半身の乳白色のみずみずしい肌が露になる。


 レイスロイドは、骨や内臓などの人間にとって重要な器官を一切必要としない。無論、無駄な毛や血管も全くないので人の身体と比べれば見た目にかなり違和感があるが、それでも彼女自身は自分の身体がすっかり気に入っているようだ。


 ナツリも軍服の上着を脱ぎ、白いブラウスのボタンを上から順に外していく。純白の下着の下に健康的に発育した豊かな双丘そうきゅうと見事に引き締まった腰のくびれ、年齢不相応の彼女の肉感的な肢体が美しく晒される。今がもっとも成長期ということもあってか、ここ最近やたらと胸が大きくなっているような気がする。ただでさえこんな無駄に脂肪を蓄えているというのに、これ以上膨張されると本当に困るのだが……。


 悩んでも仕方のないことを独り嘆きながら、ナツリは艶のある赤いロングストレートヘアを髪留めで丁寧にまとめる。


 ふと隣から強い視線を感じ、思わずそちらに目をやる。


 すでに丸裸になったティアが、なぜかこちらを興味深げにじっと見ていた。


「……ん? どうしたの?」


 両手でブラジャーの背中のホックを外しながら、ナツリは怪訝そうに首を傾げる。


 すると、ティアはもじもじと恥ずかしげな様子で口を開いた。


「その……ナツリさんのおっぱい、すごく大きいんですね。……正直ちょっと羨ましいです」


 なぜか恨みがましく半目で言いながら、ティアは自分の貧相な胸とナツリのEカップは下らぬであろう特大バストをちらちらと見比べる。


 彼女の唐突な発言に、ナツリは泡を食ったように豊満な胸部を慌てて両手で覆い隠す。


「そ、そんなことないわよ……! どっちかと言えば、私はティアちゃんぐらいのバストサイズのほうがよっぽど羨ましいわ……! おっぱいが大きいのって、実は結構大変なのよ……? 服とか下着のサイズが合わないことが多いし、肩とかすぐ凝っちゃうし……」


 酷く動揺しながら、彼女はティアの背中を思いきり押す。


「さっ、私の身体のことはいいから、早くお風呂に入りましょ!」


 適当に話をごまかし、少女を無理やり浴場に押し込む。


 中に入れば、そこは床も壁も全て白いタイル張りの奥行のある少し広めの空間だ。極力節水のために浴槽にこそ入れないが、今の時代はシャワーだけでも充分貴重なので有りがたいに越したことはない。


「ここの浴場はそこまで広くないけど、石鹸とかシャンプーは一通り揃ってるから身体を洗うのには困らないと思うわ」


 ナツリは近くに三角形に積み重なったプラスチック製の白い風呂椅子を二つ手に取り、それらをシャワーの前に並べる。


「さあティアちゃん、ここに座って。私が全身綺麗に洗ってあげる」


 それに対し、少女は何やら恥ずかしそうに身体をもじもじさせる。


「だ、大丈夫です。これぐらい自分でちゃんと洗えますので……」


「いいからいいから、怪我人は遠慮しないでこっちにおいで」


 まるで態度を変えようとしないナツリに簡単に押し切られ、今回は彼女の親切心に甘えるようにティアは潔く椅子に腰掛ける。


 ナツリも少女の後ろに座り、固形石鹸にタオルを巻いてゆっくり泡立てると、それで彼女の背中を優しく撫でるように洗っていく。


「身体のほうは痛くないかしら?」


「あっ、はい。おかげさまで大丈夫です」


 肩越しに朗らかな笑みを見せ、ティアは元気な声を返してくる。


 そんな少女とは裏腹に、ナツリは表情を酷く痛ましいものにする。


 オルティアから逃げた際にレイスロイドたちに襲われて傷を負ってしまったのだろう、現在も彼女の背中には手当した痕が生々しく残っている。記憶を失った時のショックで今は覚えていないのかもしれないが、きっと当時は死ぬほど怖い思いをしたに違いない。なぜなら自分も、かつて世界の終末のような生き地獄を味わった一人だから。


「——そういえば、ナツリさんはいつからこの基地で働いてるんですか?」


 不意にティアにそう問いかけられ、ナツリは彼女の身体を洗いながら丁寧に答える。


「私の場合、世界崩壊アストラル・コラプスの時にお父さんと別れた後、反乱軍の総司令官であるマーシャルさんに命を拾われて現在の仕事に就いてるわ。一年前にお父さんの研究所で出逢って今は一緒に暮らしてる仕事パートナーのレインは、私のお父さん——レイスロイド研究者にしてその生みの親でもあるローエン=ライトが遺した最後の宝なの」


 するとその名前に対し、少女の背中からぽつりと一言返ってくる。


「ローエン……ライト……」


 やけに引っ掛かるような彼女の反応に、ナツリは不思議そうに小首を傾げる。


「どうしたの?」


「い、いえ、なんだかその……よく聞いた名前のような気がして……」


 どこか思い当たる節がある様子でそう呟き、ティアは深く沈んだ声音で申し訳なく言った。


「そんな大変な事情があったんですね……。すみません、余計なことをいてしまって……。ナツリさんも色々と苦労されてきたんですね……。——あとレインさんとはすごく仲が良さそうだったので、てっきり恋人﹅﹅さんなのかと思っちゃいました」


「なっ……」


 彼女の口からいきなり飛び出してきた突拍子もないその言葉に、ナツリは思わず面食らったように固まる。


 顔から火が噴き出しそうな勢いでたちまち赤面すると、慌てて全力で否定した。


「ちちち、違うわよ! あいつとはあくまで仕事上の関係なだけで、誰があんな朴念仁と付き合ってなんか……!」


 なぜか酷く動揺する彼女に、ティアはきょとんと不思議そうに首を傾げる。


 ナツリはなおも釈明するように言葉を付け加えた。


「と、とにかくレインは仕事でのパートナーであって、私とあいつはそれ以上でもそれ以下の関係でもないの! さ、とっとと身体流すわね!」


 早口でまくし立てながらそう言い、少女の身体に付いた泡と汚れをシャワーで綺麗に洗い落としていく。


 二人は貴重な風呂をたっぷり満喫した後、ナツリは浴場に併設された食堂で軽い夕食をり、ティアと一緒に兵舎バラックの自室に戻った。


 室内に入ると、部屋の片隅に設えられた特等席のソファをレインがいつも通り占領しており、その上にだらしなく仰向けで横たわっていた。


 今日から新しい入居者が増えたにもかかわらず、相変わらず生活態度を改善する気がない青年の怠け者ぶりに、ナツリはとことん呆れ果てた顔で言った。


「もう……今日ぐらいちゃんとベッドで寝たらどうなのよ?」


「…………」


 構うのも億劫そうにくるりと寝返りを打たれ、完全に無視される。


 はあ……とナツリはもはや呆れを通り越し、諦観したような顔で傍らの少女に謝る。


「ごめんね。こいついつもこんな感じなのよ。申し訳ないけど、そこの椅子にでも座ってもらえるかしら?」


「わ、わかりました!」


 快活よく応えて、ティアは部屋の奥のデスクチェアにちょこんと腰掛ける。


 ナツリは彼女の脇の本棚を指差し、気遣うように言う。


「本当に何もない部屋だけど、そこの棚に本があるから好きに読んでくれて構わないわ。私は今からティアちゃんの機構データを少し解析するから、何か困ったらすぐに言ってちょうだい」


「すみません、どうもありがとうございます……」


 彼女の温かな心遣いに、ティアは頭を下げて改めて感謝する。


 ナツリは隣の寝室で軍服から寝巻に着替えてから、リビングに戻ってデスクで早速作業を始める。一度集中し出すとたちまち仕事が捗り、キーボードの叩く軽い音だけが室内に淡々と響き渡る。


 コーヒーを一服。おおよそ解析が済んだところで椅子の背もたれに身体を預け、ナツリはぐーんと背中を伸ばす。


 ティアの機構データとレインのそれをずっと比較していたが、やはり調べれば調べるほどに彼女が普通のレイスロイドではないことは認めざるを得ない。電子頭脳サイバーブレイン新炉心ネオリアクター電子神経回路ENCなどどれもこれまで目にしたことがない卓越した技術で造り上げられており、決してレインのような戦闘特化型の乱暴な造りではないが、ティアの精巧な機構も彼に全く引けを取っていない。


 さらに驚くべきことに、どういうことか彼女の精神状態を示す《善心数値》が限界値の100パーセント﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅になっている。


 本来、これはまず有り得ないことだ。人間と同じようにレイスロイドにも《善》と《悪》の二種類の性質が存在する。それら善心と悪心の数値を各半分——つまり50パーセントずつ均等に振り分けることで、彼らの自我を正常に保っているというわけだ。


 だがティアの場合、善心数値が100パーセントということは、《悪心数値》は当然0パーセント﹅﹅﹅﹅﹅﹅だ。暴走しているレイスロイドの悪心数値100パーセントならまだ解るが、善心数値が100パーセントというのは今までに見たことも聞いたこともない。


 第二世代レイスロイドのレインやスレッドでさえ一度ひとたび善悪の均衡が崩れれば自我を制御できなくなるというのに、第一世代レイスロイドにもかかわらず彼女はなぜか暴走状態に一切陥ることなく、それどころか全ての悪心数値の上昇を今も完全に押さえ込んでいる。大都市オルティアから命からがら逃げてきたと言っていたが、これが世界崩壊アストラル・コラプスの時にティアだけ暴走しなかった理由の一つかもしれない。


 しかも、驚愕すべきことはこれだけではない。


 彼女の電子頭脳の最奥には、何らかの重要プログラム﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅が密かに存在しているのだ。厳重なプロテクトがかかっているためこちらの解析にはもう少し時間がかかりそうだが、これがティアの暴走しなかった根本的な理由に関係しているのはまず間違いないだろう。


 ふと、傍らで本を読んでいた少女が、酷く申し訳なさそうにぽつりと言った。


「すみません、なんのお役にも立てなくて……」


「ううん、別にいいのよ。これが私の仕事だから、ティアちゃんは何も気にしなくていいわ」


 柔和な口調でそう言い、ナツリは聖母のように彼女に微笑み返す。


 部屋の掛け時計にちらりと目をやると、いつの間にか時刻はすでに午後九時をまわっていた。


「さて、今夜はもう寝ましょ。明日は特に早いし」


 今日の疲れを明日の重要任務に残すわけにもいかないので、ナツリは早々に作業を切り上げることにする。


 最後にモニター画面のレインとティアのデータをじっくり見比べると、誰にも聞こえないほどの声でぼそりと呟いた。


「うーん……やっぱり似てる﹅﹅﹅けど、まさかね……」


 少し気になったように独りごち、データを保存してパソコンの電源を落とす。


 先にティアを寝室に行かせると、ナツリは部屋の壁のスイッチを押して照明を消す。室内が完全に真っ暗になるが、この期に及んでまだ漬物石のようにソファから全く動こうとしない青年をもはや残念な目付きで一瞥いちべつし、自分も寝室に移動しようとしたところでふと窓の外に目が行く。


 深々とした夜のとばりの向こうに、氷盤のような冴え渡った月輪が真下に広がる荒野に淡い燐光を投げかけていた。


 綺麗な夜だった。世界を包み込むしじまと相まってその雄大な景観は、一層心に沁み入るものに感じられた。


 明日は人類反撃の大きな一歩になるかもしれない。ただそうなることだけを信じ、今夜は早めに床に就いたのだった。





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