第二話 翼の折れた天使

 チュンチュン、と朝のしらせを告げる小鳥の甘いさえずりが、子守歌のように耳の中に心地よく流れ込んでくる。


 それを聞いた途端、睡眠状態スリープモードだったレインはたちまち意識を覚醒させる。


 見れば、丸く切り取られた洞窟の入り口からすでに眩いばかりの新鮮な陽光が中まで射し込んでいた。


 昨日の嫌な出来事が悪夢のように甦るが、どうやら本当に夢じゃなかったらしい。集落の住人たちの埋葬作業を終えた後、やり切れない思いからナツリについ冷たい態度を取ってしまった。少々不本意だが、さすがに昨日は自分が悪かったのでこれからの関係に支障をきたさないためにも後できちんと謝っておこう。それに、いつまでも過去の重荷を引きずっているわけにもいかない。


 すぐに気持ちを切り替えると、レインはおもむろに上体を起こす。


 だが、外のほうに完全に意識を取られていたせいで、その存在﹅﹅に気づくのが遅れた。


 土で汚れた白コットン素材の薄い半袖ワンピースを着用し、まだあどけない顔立ちをした白銀色の長髪の少女が傍に倒れていたのだ。


「おい、しっかりしろ!」


 咄嗟に彼女の身体を抱えて揺さぶるが、全然目を覚ます気配はない。しかもまずいことに息をしておらず、心臓も全く動いていない。


 レインは急いでナツリに連絡を取ろうと考えたが、よく見ると何か剣で焼き斬られたような無惨な裂傷﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅が、少女の背中の白い肌に浅く刻み込まれていた。普通なら今頃大量出血で命に関わるほどの致命傷になっているはずだが、なぜか血は一滴も出ておらず、体内の機構﹅﹅部分がはっきりと剥き出しになっていた。


 外見から勝手に人間と判断したが、こいつは間違いなくレイスロイド﹅﹅﹅﹅﹅﹅だ。


 昨日は暗闇でその存在に全く気づかなかったし、仮に自分が寝ている間に少女が洞窟に入り込んできたのなら鼠一匹見逃さない高性能の索敵サーチング機能によって即座に動体検知にかかるので、もしや今までずっとここに倒れていたのだろうか。だがそれにしても、やけに全身の汚れや破損が目立つ。まるでこの狭い洞窟の中で人知れず、長い間放置されていたかのような――。


 彼女が動かない原因は判らないが、ナツリに診てもらえばすぐに判明することだろう。本来ならこのような単独任務中にレイスロイドを回収することなどまずないのだが、何せ今回は状況が状況だ。少女がこんな僻地の洞窟で一人で倒れていたことや誰に斬られたかも判らぬ酷い傷痕、そして何より人間と見紛うほど精巧に造られたレイスロイドであることなど不可解な点が多すぎる。


 レインは少女の身体を軽々と持ち上げて背中に乗せると、薄暗い洞窟の中から外に出る。


 途端、真夏の強烈な日差しが燦々と降り注いでくる。


 紺碧色の天蓋を世界に覆い被せたような青天井が際限なく晴れ渡っており、今日も自己主張の激しい日輪は中天から満面の笑みでこちらを俯瞰ふかんしていた。


 レインは少女を背負ったまま両足のブースターを起動させると、野鳥の如く森の上空へと一気に飛び上がる。近辺に切り立った断崖を楽々と飛び越え、そのまま元来た森林地帯も高速で通過する。


 程なくして途切れた深緑群と広大な荒野の対極的な自然の境で素早く着地すると、周囲に両眼の赤外線センサーを走らせてレイスロイドがいないことを充分に確認し、一旦少女を近くの木の幹に預ける。付近の鬱蒼とした茂みの中に両手を突っ込み、そこに隠していた青と黒の二色でデザインされた重厚な車体を外に引っ張り出す。


 まるで朝と夜の空の色合いを想起させるような光沢の美しい装甲のそれは、ナツリがわざわざレインの移動兼戦闘用に特殊改造カスタマイズほどこしたドラッガースタイルの最新クルーザーだ。これを造るためにかかった費用のことはあまり考えたくない。


 その後部座席に少女を乗せるとレインもシートに跨がり、座席下の収納スペースの中に余っていたロープで自分と彼女の身体をしっかりと結び付けて固定する。バイクの鍵穴にキーを差し込んで回し、キルスイッチをオンにする。チョークレバーを手前に引くと、最後にセルスイッチを押してエンジンをかける。


 右足のアクセルペダルを勢いよく踏み込んだ瞬間、クルーザーが豪快な発進とともにだだっ広い荒野を爆走する。


 酷く荒れ果てたコースは見た目以上にかなり走りにくいはずだが、彼はまるで自宅の庭でも駆け回るかのように造作もなく車体を制御する。外での任務は遠方に移動するための機動力が必要不可欠なので、バイクの運転はそこいらの兵士以上に手慣れたものだ。


 巧みな運転捌きでクルーザーを走らせること、およそ十分。前方正面に、反乱軍の主要拠点であるトラビナ西部第一基地がたちまち目に入り込んでくる。


 幸い何事もなく西のメインゲートの警衛所に到着すると、レインは受付の兵に愛想の欠片もなく普段通り自分の身分証を呈示する。


「あれ? こんにちはレインさん。朝から任務だったんですか?」


「いや、昨日から出ていた。昨夜ゆうべは帰投するのも面倒だったんでな。任務先の村の近くの洞窟で野宿して、一晩過ごしただけだ」


「そ、そうなんですか……。それはわざわざ長時間の任務ご苦労様です……。ところで……その後ろの女の子は?」


 若干引き気味な顔で言いながら、受付はバイクの後部座席に座っている少女が気になった様子でそちらを見やる。


 それに対し、レインは偽りなく正直に答えた。


「今朝洞窟の中で倒れていた。全然意識が戻らないから、ここまで連れてきた」


「そ、それは大変じゃないですか! 私も一緒に運ぶの手伝いましょうか!?」


「俺一人で充分だ。お前は自分の仕事に努めろ」


「そ、そうですか……。――わかりました、どうぞ急いで中へ!」


 少女がレイスロイドであることは敢えて黙っておき、レインは再びバイクを発進させて颯爽と基地内に入る。


 あちこちに点在した白亜の建物とどこまでも広がる灰青色の構内道路があるだけの殺風景な敷地を横切り、基地の中央に密集する建物群のほうへと向かう。色褪せた白茶色の外装の横長い兵舎バラックがすぐに見えてくると、そこに隣接された駐車場にバイクを停める。


 自分と少女の身体を繋ぎ止めていた縄を解き、レインは彼女を背負って兵舎の中に足を運ぶ。エントランスに設置されたエレベーターを使用し、ナツリと共用している三階の部屋の前までやって来ると、入り口の自動スライドドアを軽くノックする。


 が、返事はない。


 もう一度強めに扉を叩く。


 はーい、ちょっと待ってねー、と何やら起き抜けのような声がすぐに部屋の中から返ってくる。


 ウィーン、と程なくして未来的な開閉音を鳴らし、滑らかに横移動した金属扉がようやくその役目を果たす。


 白とピンクの格子こうし柄の可愛らしい寝巻を着た赤髪の少女が、未だ夢現の狭間で彷徨っているような寝ぼけた顔で姿を現す。


「……いつまで寝ているんだ。もう昼だぞ」


 これにはレインもとことん呆れ顔になる。


 ナツリは酷く眠たそうにまぶたをこすり、呑気に欠伸あくびをしてこちらに向き合う。


「あれ……いつの間にかえってたの? ……というか、誰その子?」


 寝ぼけまなこで胡乱うろんげに言いながら、青年の背中で今も眠っている少女を見やる。


 レインは、単刀直入にその事実を告げた。


「レイスロイドだ。今朝洞窟の中で倒れているのを発見した。なぜあんな場所にいたのかは判らんが、おそらくかなり前からずっと一人で放置されていたんだろう。――こんな奴が人間に見つかれば、ただで生かしてはおかんだろうからな」


 それほどまでに、今のレイスロイドに対する人々の業は恐ろしく深い。


 レイスロイドを積極的に活用している軍の連中ならまだしも、外の人間たちには少なからずレインも理不尽とも言うべき差別を日々受けてきた。一年前に自分が山岳の研究所で起動する以前に、人間が一体どれほど酷い仕打ちをレイスロイドから受けてきたのかは知るよしもないが、ナツリが辛そうな顔で話すのだからきっと皆それぞれの大切なものを身勝手に奪われたのだろう。


 過去を変えることはもうできない。だが、これから進んでいく未来は無数に枝分かれし、いくらでも可能性を見出すことができる。いつかレイスロイドたちの支配から人々が解放される日を信じ、今日もレインは反乱軍での活動を愚直に続けている。


 そんな彼の苦い心中を察するはずもなく、ナツリは少し考えた様子で首を捻る。


「ふーん……それは確かに気になるわね。ちょっと中で座って待ってて。すぐに支度するわ」


「……ナツリ」


 不意に、レインは気まずい口調で彼女を呼び止める。


 少女の顔から軽く視線を逸らしながら、言いづらそうに口を開いた。


「昨日はその……すまなかった」


 それを聞いたナツリは少し驚いた顔をしたが、クスッ、とすぐに笑いをこぼして言った。


「別にもう何も気にしてないわよ。これでも気持ちの切り替えは昔から早いほうだし。……というか、あんたが自分から謝るなんてずいぶん珍しいわね。案外初めてじゃないかしら?」


「…………」


 手痛く指摘され、実際それが事実だったのでぐうの音も出ない。


 自分のことは棚に上げるように素知らぬ顔をし、とりあえずレインもそそくさと部屋に上がる。


 兵舎にしては少し広めの室内は、几帳面なナツリが定期的に掃除をしていることもあっていつも綺麗に整理整頓が行き届いており、空気中にはそこはかとなく何かの甘い匂いが漂っている。


 艶のないネイビーカラーの合成皮革の二人掛けソファに少女を下ろし、レインも適当に腰掛ける。


 ナツリは洗面所のほうに消えていくと、すぐにシャワーを浴びるささやかな水音、それからドライヤーの暴力的な騒音が順に聞こえてくる。この部屋で彼女と一緒に生活を始めた頃は、「お風呂覗いたら絶対赦さないからね!!」と毎日のように口酸っぱく言われていたが、今では青年がそんな色欲にすら無関心だと気づいたのか、いつしか忠告することもなくなっていた。


 数分後、基地内の生産プラントで製造されている謎のゼリー飲料を飲みながら、反乱軍指定の黒の軍服に着替えたナツリが洗面所から出てくる。


「お待たせ。……というか、あんたたちずいぶん汚いわね。シャワーでも浴びてきたら?」


 露骨に不快そうな顔で彼女にそう言われ、レインは思わず自分の身体を見下ろす。


 少女と同様に全身砂や土まみれですっかり汚れており、確かにあまり見るに堪えない恰好である。


 しかし、まるで飾り気のない青年はにべもなくそっぽを向く。


「俺はレイスロイドだ。別にお前たち人間みたいに、いちいち身体を清潔にする必要はない」


「それはそうだけど、その見すぼらしい恰好を他人から見られる私が嫌なの。――ちょっと待ってて」


 飲み干したゼリー飲料のパウチをゴミ箱に投げ捨てて、ナツリはすぐさま洗面所から絞った濡れ雑巾を持ってくる。


 レインの前にしゃがみ込むと、すっかり使い古されたボロい布切れで彼の頭の装甲を遠慮なく拭き始める。


「おい、何するんだ」


「あなたにその気がないなら、私が全身の隅々まで綺麗に拭いてあげる」


「いいって言っているだろう」


 頑なに拒否しようとするが、ナツリは悪戯好きの子供のような意地の悪い笑みを浮かべて全然やめようとしない。むしろこちらが嫌がるのを楽しんでいるかのようだ。


 一方的に青年の頭をぴかぴかに拭き終えると、なんたることか今度は顔のほうまで綺麗にしようとしてくる。それでもレインはなおも抵抗しようと、彼女の手を払おうとした瞬間――。


 ふと、ぴたりと少女と目が合う。


 まるでそこだけ時間が切り取られて停止してしまったかのように、しばらく二人はじっと間近で見つめ合っていると――。


 途端、なぜかナツリの顔が茹でだこみたいに耳まで真っ赤になる。


「……今度はなんだ?」


「な、なんでもないわよ! ほら、じっとしてて!」


 わけがわからず乱暴に顔を押さえ付けられながらきつく怒鳴られ、レインは渋々彼女の命令を受け入れることにした。


 ナツリは彼の全身をくまなく水拭きすると、ついでに少女の身体の汚れも綺麗に拭き取った。


「これでよし、っと。それじゃ支度もできたし、早速研究棟に向かいましょ」


    ∞


 ナツリとレインが少女を連れて訪れたのは、基地の同じ敷地内にあるレイスロイド研究棟だ。細長い廊下にはいくつも研究室が存在し、二人はその中の一つのレイスロイド第一研究室に足を運ぶ。


 赤外線センサーが反応して自動スライドドアが開くと、薬品特有の刺激臭が自分たちを出迎えるようにツンと鼻を突く。少し奥行のある空間には、たくさんの実験台や薬品棚などが雑然と並んで詰め込まれていた。


 そこに一人、白衣を着た若い男が試験管片手に化学実験に勤しんでいた。


「あれ、所長? こんな時間に一体どうしたんですか?」


「ちょっと気になるレイスロイドが見つかってね。研究室のほうを借りるわよ」


 今ではすっかり聞き馴れた呼び名に軽く反応し、ナツリは隣の部屋に足を運ぶ。レインも彼女の後をついていく。


 もう一つの部屋に移動すると、白を基調とした清潔感に満たされた広い室内には、リノリウム製の綺麗な床を埋め尽くすように様々な謎の電子機器が所狭しとしつらえられていた。


「そこの検査台に彼女を乗せてちょうだい」


 ナツリにそう指示され、レインは近くに据えられた検査台の上に少女を寝かせる。


 ナツリは少女の汚れたワンピースと下着を遠慮なく脱がし、あらわになった彼女の全身をためつすがめつ調べる。


 すぐにそれを終えると、思わず舌を巻いたように唸った。


「正直ここまで人間に近いレイスロイドは、レイン以来初めて見たわ……」


 燦爛さんらんとした白金色の瞳も艶やかな白銀の髪の繊維も、毛穴の存在しない象牙の肌も、どれも良質な素材マテリアル部分品パーツが惜しげもなく使用されている。しかも普通のレイスロイドであれば専用の工場で製造される際に型式指定番号が身体のどこかに刻まれるはずなのだが、それが全く見当たらない。おそらくレイスロイドの中でも、かなり初期の頃に造られた旧型のものと思われる。


「とりあえず、早速スキャナーに通してみましょ」


 近くの巨大検査機器の操作盤を動かし、ナツリは流れるような手際の良さですぐさま起動させる。


 すると、少女の身体を乗せている検査台がゆっくりと水平移動し、純白のドーナツ型の機器の中に通されていく。その脇に据えられたコンソールに機構解析データがすぐに送られ、モニター画面に詳細に表示される。


 ナツリはコンソール前のドクターチェアに飛び乗るように腰掛けると、そのデータを目にして思わず声を上げた。


「なっ……何がどうなってるのよ、これ!?」


 眼球が飛び出しそうな勢いで目を丸くし、デスクに身を乗り出して食い入るように画面を覗き込む。


 少女の全身の機構データには電子神経回路ENCが毛細血管さながら複雑に入り組んでおり、他のレイスロイドとは明らかに造りが異なっている。高性能レイスロイドの心臓とも言うべきゼノライトを動力源とした《新炉心ネオリアクター》とトラビナラットの神経細胞で精密に構成された《電子頭脳サイバーブレイン》も、通常のレイスロイドと違ってまず有り得ない精巧な造りだ。各都市の製造工場の自動生産オートメーションによって造られるレイスロイドの身体の大きさや外見は違えど、基本的に普通はどの種類も同じ機構になる。


 だがこの少女は、決して機械ではなくの手によって最初から緻密に造られたものだ。


 そう、レインと同様の特別オリジナルな存在。


 いま人間に最も近い存在とも言えるレイスロイドは味覚以外の四感の機能を全て備えており、電子頭脳から電子神経回路を介し送られてきた電気信号によって全身の人工筋肉を刺激し、身体の各部位を極めて精密に駆動させる。


 そして全てのレイスロイドの顔や声質、性別や性格などの生まれつきの特徴は、大都市オルティアのセントラルタワー内にあるマザーオベリスクの《個性無作為抽出パーソナリティ・ランダムサンプリング》機能によって彼らの電子頭脳の初期設定時に決められる。


 少女の脳内の残存データを調べたところ、彼女の製造日からすでに七年以上が経過していたが、人間のように年齢が特に決まるわけではない。やはり彼女の場合、性別は見た目通り《女》に設定されていた。ちなみにレイスロイドに生殖器官はないが、人間の声域基準によってある程度男女に区別される。


「すごい……。見ればみるほどこの子が特別精巧に造られてるのが判るわ……。でも一体誰が……」


 どこぞの一般人が個人的な趣味で造った代物とは到底思えないし、かと言って当時の研究者たちの情報などわかるはずもなく、今はその辺りのことをいくら考えても仕方がない。


 釘付けになったようにしばらくモニター画面と向き合っていると、ナツリはふと眉をひそめる。


「……ん? 脳内の一部で何か破損してるわね。なになに……」


 素早くキーボードに指を走らせると、少女の脳の奥の画像データに拡大表示されたその正体に、さらに訝しげな顔をする。


測位受信機GPS……? どうして一般のレイスロイドにこんな物が埋め込まれてるのかしら……。普通はプライバシー上の関係でまず有り得ないんだけど……」


 レインのような重要な高性能レイスロイドならともかく、こんな幼い少女に常に発信機を付けておく意味が全く解らない。


 思わず小首を傾げながら、ナツリはどれほど考えても不可解な疑問に唸り声を洩らす。


「うーん……とりあえず身体自体に特に異常はないみたいね。単なるエネルギー切れみたい。充電しておけばそのうち回復すると思うけど、暴走の危険がある以上安心はできないわね。この子には申し訳ないけど、念のため身体は検査台に固定しておきましょ」


 そう言って、少女の華奢きゃしゃな肩から背中にかけて刻まれた一番酷い裂傷に、彼女の白皙はくせきの肌色に合わせたレイスロイドの医療用人工皮膚シートを貼り、ひとまず応急処置をほどこす。


 さらに少女の胸の充電差し込み口に太いエネルギーケーブルのコネクターを差し込むと、最後に彼女の四肢を検査台の鉄輪かなわめてしっかりとロックしておく。


 ナツリは左腕の腕時計をちらりと一瞥いちべつし、パンと両手を打ち鳴らす。


「さて、この子のことはまだまだ気になるところだけど、そろそろ私たちも今日の仕事を始めるわよ。今頃司令室でマーシャルさんが待ってるはずだわ」



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