第15話 役割
『先日はありがとうございました』
一体、なんのお礼なのだろうか。
電話先の鈴木の言葉に疑問がわく。
んと…なんのことですかね?
『あぁ、言葉足らずで申し訳ない。伊東さんです、100歳の亡くなったおばあちゃんをなにもせずに看取っていただいて…』
なぜ、その事を鈴木が知っているのだろう。
なにもせず…というか、あの状況であの高齢な場合は一看護師レベルではどうにもならないと思いますが…
『いやいや、我々が求めているのはそれです。より多くの看取りを行なって頂きたいのですよ』
はぁ…。それは簡単に言えば急変時に出来る限りの救命はせずに看取れ…と?
『はい、そうです』
簡単に言ってくれる。
それは聞こえようによっては『殺せ』とも取れるのですが…
『柳田さん、そんな言葉を電話でしてはいけませんよ。国が電話内容を盗聴していたらどうするんですか』
こいつの発言には毎回驚かされる。
そして、否定もしていない。
『より多くの患者を看取る、そのための貴方達なのです。これからもよろしく』
そういい終えると電話は切れていた。
嗤う看護師 @2017kake
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。嗤う看護師の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます