第11話 国務の片鱗

『柳田さん、マンションを買われたんですか?』


鈴木だ。

それにしても何故、マンションのことを知っているのだろう。


はい、いただいたお金と貯金をはたいてローンですけどね。


『いやいや、いい決断です。なかなか最近の若者にしては立派ですね』


他愛もない会話が続く。


『今日、電話したのはですね…』


鈴木が本題を切り出す。


『今日、これから始まる日勤の中であなたは何もしないでください。』


ん?それはどういう意味ですか?


『状況が来ればわたしの言葉の意味がわかるはずです。それまでは自分の仕事だけをしておいてください。』


そういうと鈴木は電話を切った。


どういうことだろうか、これが国務なのか。


全く情報のないまま、病棟の一日が始まった。

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