無題

かいわれ

黒く蠢き、当てはまるような形を持たないコレは、過去の地点では私と同じ形をした者であった。

コレが私の未来?そんなはずはないだろう。

だって私は…。

……背筋が凍るような気配を感じた。

何かが。何かが私の足を掴んでいる。

痛みはない。逆に感覚がなくなっていくようだった。

私は恐ろしくなり、走り出そうとした。

どこか、遠い場所へ。ここではない、明るい場所へ。

だがどこまで行っても世界は暗く…。黒く蠢くモノ達が私の歩みを阻むだけであった。

そんな中で、私の脳内にある考えがよぎった。

私が『異端』なのではないか?

彼らが未来なのではない。私が過去なのでは?

気が狂いそうだった。いや、もう狂っているのかもしれない。

混乱した私の頭は、感情を断片的に伝えてくる。取り残された恐怖を、少しずつ、しかし鮮明に。何故私はこんな形をしているのか。

崩れる。カタチが…。

不意に、足の感覚が消えた。そこにはもう足はなかった。蠢く『ヒト達』が私の腰と繋がっているだけだった。

私は嬉しかった。ひとりじゃなくなるのだ。

私は『正常』になれるのだ!

思考が…止まっていく。

視界は狭くなっていき…見えるのは黒い仲間達だけ。

不安もない…みんなと一緒…。

これは幸せなことだろう?

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無題 かいわれ @Kaiware

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