無題
かいわれ
黒
黒く蠢き、当てはまるような形を持たないコレは、過去の地点では私と同じ形をした者であった。
コレが私の未来?そんなはずはないだろう。
だって私は…。
……背筋が凍るような気配を感じた。
何かが。何かが私の足を掴んでいる。
痛みはない。逆に感覚がなくなっていくようだった。
私は恐ろしくなり、走り出そうとした。
どこか、遠い場所へ。ここではない、明るい場所へ。
だがどこまで行っても世界は暗く…。黒く蠢くモノ達が私の歩みを阻むだけであった。
そんな中で、私の脳内にある考えがよぎった。
私が『異端』なのではないか?
彼らが未来なのではない。私が過去なのでは?
気が狂いそうだった。いや、もう狂っているのかもしれない。
混乱した私の頭は、感情を断片的に伝えてくる。取り残された恐怖を、少しずつ、しかし鮮明に。何故私はこんな形をしているのか。
崩れる。カタチが…。
不意に、足の感覚が消えた。そこにはもう足はなかった。蠢く『ヒト達』が私の腰と繋がっているだけだった。
私は嬉しかった。ひとりじゃなくなるのだ。
私は『正常』になれるのだ!
思考が…止まっていく。
視界は狭くなっていき…見えるのは黒い仲間達だけ。
不安もない…みんなと一緒…。
これは幸せなことだろう?
無題 かいわれ @Kaiware
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます