あなたに染まる

うたを聞いている。

あなたが好きだと言ったうたを

ここ数日 ずっと聞いている。


僕は自分がないせいか、

あなたの好みに染まりやすくて、

こんなことではいけないと思うのだけれど、

あなたが喜ぶ顔を見てしまうと、

これでいいのかと錯覚してしまうんだ。


どんどん あなたの色に染まってしまったとしたら、

そこに出来上がった僕は 僕だろうか?

あなたが愛した人は、僕だろうか?


それを考えてしまうと、

僕はあなたとはいられなくなってしまうから、

だから気づかないふりをして、

今日もあのうたを聞いている。


彼女らの歌声を美しいと思うのは、

本当に僕だっただろうか。


今はまだ、その答えは知らなくていい。



              ~あなたに染まる~


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