僕らと、雪と

「ああ、そうか」と 僕は思わず口にした。

この雪に これほどまでに心ひかれるのは、

僕とあなたの関係に似ているからなのだと、

なんとなく そう思った。

どこまでも白く美しく

これほどまでに僕らの目をひきつけるのに、

いつか まったく消えてしまう。


そうだとわかっているのに、僕らは、

それでもこの雪に恋い焦がれ、憧れて……

いつか失うとわかりきっているのに

この白の永遠を願ってしまうのだ。


僕がそんなことを考えているだなんて

つゆも知らずに あなたは、

僕の前髪に舞い降りた雪の一粒を

優しい指先でそっと払うのだ。


僕がそんなことを考えているだなんて

つゆも知らずに あなたは、

僕だけが知っているという無邪気な笑顔を見せるのだ。


いつか この雪は消えてなくなってしまう。

必ず この雪は消えてなくなってしまう。

だけど僕は、

それでも愛さずにはいられないのだ。



~僕らと、雪と~

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