君ならば

本当は泣き叫びたい。

だけど それは許されないことだから、

僕は 全てを押し殺して

体の奥に押し込んで

心の表層で笑ってみせる。


それでも彼の目は

そんなもの簡単に見破って、

笑顔を見せているにもかかわらず、

「大丈夫?」と 優しい声をかけてくれるんだ。


この人ならば、打ち明けても大丈夫だろうか。

この人ならば、受けとめてくれるだろうか。


きっとそうしてくれるだろうと信じながら、

それは僕の幻想なんじゃないかと疑って、

僕はやっぱり押し黙る。


叫びたい。打ち明けたい。楽になりたい。

そんなことできない。君の目が痛い。君の優しさがこわい。


それでも君は

そっと僕の手をとってくれるから、

僕はまた淡い期待を抱いてしまうんだ。




~君ならば~


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