最後の夜

これが最後の夜にならないように

祈りながら、君の隣りを歩いた。

冷たい空気。

余計に君の手がいとおしくて、

背中がいとおしくて、

掴みかけたコートの裾を

撫でてやめた。


煙る煙草、

今日だけは懐かしくて悲しい。

冬の匂いと煙草の煙が、

すべてくるめて、君の匂いの気がした。


見上げたツリー

今日の願いが神様に届くなら、

もう一度 君とこの道を歩きたい。

今日の願いが君に届くなら、

もう一度、毎日を君と歩きたい。


これが最後の夜にならないように

祈りながら、君の隣を歩いた。


これが最後の夜になるんだと

別れ際に君に告げた。



最後の夜、最後の夜なのに

ちょっとだけ君の優しさが痛くて、

前以上に好きになってしまった。




              ~最後の夜~


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