Bullet:1
「という訳で一人暮らしだ。嬉しいか息子よ」
「死ねクソ親父」
ヒュッ―――!
スローングナイフを放つ。言葉通り
「だが断る。リバースファザーオープン! 死者蘇生っ!」
「死んでないのに蘇るのかよ」
俺が投げたナイフを事も無げに躱し戯言をぬかす親父を睨みつけつつ、壁に刺さったナイフを引き抜く。
……親父のせいでまた家を傷付けちまったぜ。後で親父に直させよう。
「で? さっきの一人暮らしっていうは本気なのか? いつもの冗談じゃなく?」
「マジマジ。本気と書いて|本気(マジ)。インディ〇ン、嘘つかない」
「アンタの何処がインディ〇ンだ。バリバリのフランス人だろ。そして百歩譲って嘘じゃないにしても冗談ばかり言ってるだろアンタは」
本当なら聞き流すのが正解なんだろうけど、余りにもこの
「大体随分と急な話だろ。明日入学式だぞ? ありえないだろ」
俺は明日から高校生だ。もっとも一人暮らしって話自体は嘘でも、冗談ではないのかもしれない。
……冗談、だよな?
そんな俺の不安をどう取ったのか、親父はうんうん、と何度も頷いた。
「あー、うん。それな。うん。大丈夫だ」
「だ、だよな。いくらアンタでも明日入学式を控えている子供にそんな無茶振りする訳ないよな」
「当たり前だろうが。父さんを信じろ」
うんうん。
「何の心配もいらない。大丈夫、大丈夫。ダイジョーブ博士だ」
ウンウン。
―――ピンポーン。
「そんな引越しで大丈夫だ。一番良い引っ越し業者を頼んだ」
(゜ー゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)
「―――いや待てハゲ! 引っ越し業者は頼んじゃ駄目だろ!」
「ハゲてねーよアホ! 俺はまだフサフサだろうが!」
「知るか! なぁいつもの冗談だよなマジで!?」
思わず胸倉を掴みかけた俺をスルリと避け、親父はインターホンの対応を始めた。インターホンを押したのは―――嘘だろ!? 黒くて小っちゃい虫さんマークの引っ越し業者!?
「お、おい親父!? どういうことだよ!? ―――おい、無視すんな!!」
「虫さんマークなだけに?」
「うるせぇよ!」
玄関へと向かう親父の後を追いながら、肩に手を伸ばそうと―――
ゾクリ、と背筋に寒さを感じるのと同時、急に意識が―――遠くなる。
「だから一番最初に言っただろ? 本気と書いて
からからと笑うクソ親父のその言葉を最後に聞き、俺は意識を失った。
「さーてっと。聖良ちゃんにが帰ってくる前に荷造りを終えますかね。
まずは本命の
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