第十四話 踊る妖精
「なぁ、もしかしてアイツら、あの時の盗賊たちじゃないのか?」
数日前、クラーレの家に攻め込んできた三人の盗賊たち。それが今現在、目の前にいる化け物じみた三人と同一人物であると、マキトは言っているのだ。
その意見に対し、コートニーはとてもじゃないが信じられず、異議を唱える意味も込めてマキトに問い返す。
「ほ、本当に、あの時の盗賊たちなの?」
「赤いバンダナにツンツン頭、そしてあのツルツル頭だ。あれだけ特徴が揃ったのなんて、そうそういるもんじゃないだろ」
マキトにそう言われて、コートニーも初めてその特徴に気がついたが、それよりもむしろ、変わり果てた特徴のほうが気になって仕方がない。
緑に変色した体と、不自然に大きくなった手足と、不自然に伸びた爪や歯。
それらはどう見ても人間というよりは、まるで魔物のような雰囲気を大いに醸し出していた。
「でも、それなら一体どうしてあんな姿に? ヒトが魔物になるなんて話なんて、全く聞いたことがないのです!」
「ボクも流石に、あそこまでなっちゃう魔法は聞いたこともないよ!」
ラティとコートニーが叫ぶ中、赤いバンダナの男が俯きつつ、なにやらブツブツと呟いている。
「キサマら、コロス……ユルサない……ゥァアアアーーッ!」
雄叫びとともに赤いバンダナの男が、紫色の爪を伸ばしてマキトに迫る。
すかさずロップルが防御強化を発動したおかげで、爪を見事なまでにへし折ってしまった。しかし、相手は全く動じていない。それどころか、何も起こっていないかのような反応であった。
爪が折れたことにより、そこから血が思いっきり噴き出しているのだが、それすらも全く感じていない様子であった。むしろ見ているマキトたちのほうが、痛そうな表情を浮かべていた。
「マスターっ! やっぱりこの人たち、ヤバすぎにしか見えないのです!」
「あぁ、見れば分かる! マジで仕留めにかからないと、俺たちがやられるぞ!」
「だったらボクが!」
コートニーが風の魔法を発動し、風の刃を相手に叩き込む。
しかし、その切れ味はさほど良いとは言えず、致命傷を与えるには程遠い。更に魔力量の問題もあり、今のコートニーの実力では、一度にたくさんの数を打ち込むことすらできなかった。
おまけに今回ばかりは相手が悪すぎた。いくら風の魔法を当てても、ちっとも相手に効いている様子がないのだ。魔物以前にアンデッドを予想させるほどであり、事実そうではないかとすら思えてくる。
その時マキトは、スラキチを見てあることを思いついた。
「スラキチ、炎で相手の服を燃やすんだ!」
マキトの指示により、スラキチは炎のブレスを放つ。前に出てきていたツンツン頭の男に命中し、炎が服に燃え移った。
一体何をするつもりなんだとコートニーが見ていると、マキトがコートニーのほうを向いて叫んだ。
「今だ、コートニー! 炎に向かって風の魔法だ!」
「……そうか、そういうことか!」
マキトの狙いを理解したコートニーは、相手の燃える服に向かって風の魔法を放つ。すると風によって、燃え上がる炎の勢いが大きくなった。
風は燃えている炎をの勢いを強くしてくれる。火起こしの際に、息を吹きかけるのが良い例だ。その原理をスラキチの炎とコートニーの風で行おうというのだ。
狙いどおり、炎の勢いは見事に加速した。流石に炎の熱さには堪えるのか、ツンツン頭の男は叫び声を上げる。
他の二人がコートニーを止めにかかろうと襲い掛かるが、突如その動きは明らかに減速した。
「させないのです!」
ラティの魔法によって、他二人も減速。その隙にスラキチの炎とコートニーの風が、再び容赦なく送り込まれる。
炎の威力は上がり、まさに火だるま状態だ。これが普通のヒト相手ならば、おぞましい光景に違いなかっただろう。
しかし今の三人は、殆ど魔物同然の存在と見て相違ない。むしろマキトたちは、これでようやく倒せるという気持ちが強かった。
やがて一人ずつバタッと倒れていく音が聞こえてくる。服も完全に燃え、三人は全裸の状態だ。とはいえ、その体の色や姿からして、ようやく普通の魔物に見えるようになったとしか思えない。
三人は黒焦げとなり、全く動く気配がない。バンダナはおろか、髪の毛すら燃えてしまったので、もはや誰がどれだか見分けがつかなくなっていた。
「流石にもう、終わったよな?」
「うん。これで生きているとは思えないよ」
マキトとコートニーの表情に、安心の二文字が宿る。
いくら魔物並みの変化を遂げているとはいえ、流石に不死身ではないだろうと、二人は思っていた。
魔物たちも警戒心は解いていなかったが、表情は幾分和らいでいる。完全なる勝利を確信したマキトは、気持ち良さそうに伸びをする。
「いやーしかし、これでようやく終わった……えっ?」
マキトは目を見開きながら、目の前を凝視する。
なんと、無残な黒焦げ状態となった三人が、ゆっくりと起き上がって来たのだ。
これには流石に誰もが驚きを隠せない。先ほどまで威嚇しまくっていたスラキチでさえ、怯えて後ずさりをしている。
目の前で起きている光景が信じられないマキトは、口をパクパク開きながら、なんとか言葉を絞り出す。
「じょ、冗談だろ? まだ立ち上がるってのか?」
「そんな……あり得ないのです。あんな状態で立てるハズが……」
戸惑っているマキトたちに、盗賊の一人がニヤリと笑いながら、コートニー目掛けて飛びかかってきた。
「ロップル、コートニーを助けろ!」
「キュッ!」
マキトの肩からコートニーの肩に飛び移ったロップルが、コートニーに防御強化を発動する。
ギリギリのタイミングで発動に成功し、盗賊のパンチは強化オーラに跳ね返されてしまい、コートニーは無傷だった。
ところが今度は別の一人が、ラティを狙って襲い掛かろうとしていた。
「ふやあぁーーっ!」
「ラティっ!」
パニックになっているラティの目の前に、マキトが両手を広げながら躍り出る。
盗賊の体当たりによって、マキトは思いっきり後方へ吹き飛ばされた。マキトは地面に叩きつけられ、そのままぐったりと動かなくなる。
「ピキイィーッ!」
「マキト!」
スラキチが炎のブレスで、マキトを攻撃した盗賊を後ろへ追いやり、他の盗賊たちをも威嚇しながら、炎の攻撃を続ける。
コートニーもマキトの元へ向かおうとするが、目の前の盗賊たちの相手をするので手いっぱいであった。もし少しでも油断して後ろに行かせたら、今度こそマキトは終わりだ。それだけは絶対に、なんとしてでも阻止しなければならない。
ロップルもコートニーとともに、防御強化を駆使して、盗賊たちをせき止めている。そんな中、ラティだけは呆然とした表情を浮かべるばかりであった。
「マ、マスター?」
ぐったりとして動かないマキトに、ラティは恐る恐る話しかける。
そしてゆっくりと、三人のほうを向き、まるで親の仇を見るような目で睨みつけながら、体をワナワナと震わせる。
盗賊たちが近づくと同時に、ラティもゆっくりと近づいていく。明らかにラティの様子がおかしいことは、コートニーたちも気づいていた。
コートニーが止めようと手を伸ばした瞬間、彼女の周りに膨大な魔力が集まってきているのが分かった。
ラティは涙を浮かべたまま、怒りで震わせた声を呟くように出した。
「よくも……よくも私のマスターを……絶対に許さないのですっ!」
高らかに叫んだ瞬間、ラティの体が眩く光り出す。とても目を開けていられないくらいであった。
それでもコートニーはなんとか状況を把握するべく、なんとか薄く目を開けてみる。するとそこには信じられない光景があった。
「こ、これは……?」
コートニーやスラキチたちが驚く中、ラティの姿形が変わっていく。
それも小さな変化ではない。小さな妖精からグラマーな大人の女性という、実に大胆かつ予想外過ぎる姿となっていた。
それがラティであることに間違いはないのだが、流石に急展開過ぎて、コートニーは頭の整理が追いつかない。
唖然とするコートニーたちをよそに、ラティは真っ赤な魔力のオーラを身に纏いながら、鋭い目つきで盗賊たちを睨みつける。
「我がマスターを傷つけた報い……その胸に刻み込んでいただくのですっ!」
その声や口調も、紛れもなく別人そのものであった。
幼少の子供のような甲高い口調から、少し低めな大人の女性のような口調。これだけでも驚く材料としては十分過ぎるぐらいであったが、むしろ本番はここからであった。
ラティの鋭い視線が、盗賊たちの動きを完全に停止させる。相手が震えているのを見ると、純粋に恐怖を感じているようだ。
その瞬間、ラティが動き出すと同時に、赤いバンダナの男が吹き飛んだ。
ラティが蹴りを放ったのだと理解するのに、コートニーたちは数秒を要した。それほどまでに凄まじいスピードだったのだ。
蹴り、パンチ、魔力玉。いずれもシンプルな攻撃ながら、そのスピードとパワーは、まさに圧巻の一言。そんなラティを唖然としながら見ていたコートニーは、一つの仮説に辿り着いた。
「これってもしかして、ラティの怒りそのものなのかな?」
そうとしか思えなかった。彼女が浮かべている表情からしても、体から噴き出している赤いオーラの禍々しさからしても。
ペース配分なんて、当たり前のようにお構いなし。もはや一種の暴走状態だ。
「グワアアァァーーーッ!!」
盗賊たちの苦痛にまみれた絶叫が響き渡る。
体のあちこちが変な方向に曲がっており、もう立ち上がることもできない。もう勝負はついたと判断できるのに、ラティは未だ攻撃の手を休めてない。
「まだまだまだあああぁぁーーーーっ!!」
「グボオアァッ!?」
次から次へと繰り出される攻撃の数々。同時に響き渡る痛々しい叫び声。まるで性格まで変わってしまったかのようだ。
コートニーもスラキチも、そしてロップルも、揃って言葉を失っていた。アレは本当にラティなのか、実は夢でも見ているんじゃないだろうかと、コートニーはそう思いたくなっていた。
目の前に広がっている光景は、あまりにも現実離れし過ぎている。しかしそれでも、拳を握り締めながらコートニーは思う。これは紛れもない現実であるのだと。
周囲から大量の魔力が流れていた。ラティが大きな魔力玉を形成しているのだ。突き上げた両手に集まる光は眩く、神々しさすら感じられるほどであった。
「沈めええぇーーっ!!」
魔力玉が思いっきり投げつけられ、盗賊たち三人にまとめて命中した。
大爆発を起こし、暴風と砂煙が襲い掛かる。コートニーはスラキチやロップルを庇いながら、必死に目を閉じて砂と風圧に耐えるのだった。
やがて風が収まり、恐る恐る目を開けてみると、盗賊たちの姿は跡形もなく消えてしまっていた。
周囲には赤いバンダナや服のカケラなどが散らばっている。魔力によって、体だけが吹き飛んだのだと、コートニーは判断した。
「あっ……」
ラティの体が再度光り出し、元の手のひらサイズへと戻っていく。
光が止むと、いつものラティの姿が現れる。しかし、そのまま目を閉じて脱力してしまい、地面へと落下してしまう。
急いで駆けつけてみると、すぅすぅと落ち着いた息づかいで眠っていた。
「良かった。大丈夫みたいだ。それにしても、今のは一体……?」
コートニーが安堵しつつも首をかしげていた時、後ろから声が聞こえてきた。
「妖精が持つトランス能力ですよ」
「えっ!?」
後ろを振り返ると、いつの間にか一人の青年がいた。しかも倒れているマキトの様子を伺っていた。
紺色のローブを身に纏う黒髪の人間族。細い目の色は青かった。昨日出会ったワイン色のローブの人物とは、また違う感じを思わせる。
「驚かせてしまってすみません。僕は通りすがりの人間族です」
にこやかに笑う青年に、コートニーとスラキチは警戒の眼差しを向ける。
青年はその反応を予想していたのか、特に反応も見せず、眠ったままのマキトのほうに視線を戻した。
「失礼ながら、彼の様子を拝見させていただきました。どうやら相当なまでに体を強く打ってしまっているようですね。よろしければ、これをお使いください」
青年はポーチから、青い液体の入った小瓶を取り出した。
「それは?」
「強力な回復薬、とでも言っておきましょう。念のため申し上げておきますが、毒はありません。ヒトにも、そして魔物にも……」
「そんなこと言われても……信用できないですよ」
「えぇ。そこは僕も重々承知しております。ここに二本ほど置いていきますから、使うかどうかはご自由にどうぞ」
そう言いながら、青年は同じ小瓶をもう一個ポーチから取り出し、マキトの傍に置いて立ち上がり、そのまま立ち去ろうとする。
「ま、待ってください。その……さっき言ってたトランス能力って……」
慌てて呼び止めるコートニーに対し、青年は振り返らずに語り出した。
「妖精だけが持つ特殊能力ですよ。変身することで、身体能力と魔力を強化させ、攻撃に特化した状態を作り上げるんです」
「そんな能力が……」
「もっとも、それを開花させる妖精は、ほんの一握りだとも言われてますがね」
話を聞いたコートニーたちは、揃って驚いた表情でラティを見る。妖精がそんな凄い能力を持っていたなんて、全く知らなかった。
恐らく殆ど知られてないのだろうと、コートニーは思った。あれほど見た目からしても凄いのに、ウワサの一つすら聞いたことがないからだ。
もしこの事実が広まったら、一体どうなるか。大きな反応を見せるか、それともガセネタだと言われて一切信用されないか。
恐らく後者のほうが多そうだとコートニーが思ったその時、青年は更に告げる。
「あぁ、それからもう一つ。できるだけ早めに、ここから移動したほうがいいですよ。とある一台の馬車が東から近づいて来てますからね。恐らく王宮関係者であると予測はしていますが」
「え、それって一体どういう……」
「残念ながら、詳しいことは僕にも分かりません。しかしあなた方の場合、色々と面倒なことになる可能性が高そうに思えます。その理由については……言わなくてもお分かりではないかと思いますが……」
青年の言葉に、コートニーは確かにそうかもしれないと思った。
ただでさえ魔物を連れてるだけでも珍しいのに、ラティたち三匹は、種類的にも珍しいとされている。色々と勘繰られることは、どうしても避けられないだろう。
コートニーの中に少々の焦りが出ているのを察した青年は、更に付け加える形で告げるのだった。
「幸いなことに、まだ遠くのほうにいますから、恐らくこの場にくるまでに、一日くらいの猶予はあるでしょう。僕はこれで失礼します。確かに伝えましたよ?」
言うだけ言って、ローブを翻しながら青年は踵を返す。
その瞬間、青年の周囲を強風が吹きつけてきた。コートニーたちは反射的に目を閉じて砂埃を避ける。
そして風が止んで恐る恐る目を開けると、もう青年の姿はどこにもなかった。
一体あの青年は何だったんだろうと、呆然としながら消えた方向を見つめていたその時だった。
「キューッ!」
ロップルが青年の置いていった小瓶を指さしながら、コートニーに叫んでいる。
早くこの薬を使おうよ、と訴えているようだ。マキトもラティも、未だに目覚める様子が全くない。おまけにのんびりしているヒマもないことを考えると、どうしても選択肢は限られてくる。
「一か八か、使ってみるしかないか」
コートニーは意を決して、小瓶のフタを一つ開け、液体の匂いを嗅いでみる。クスリ独特の香りを感じ取り、大丈夫であってほしいと願いつつ、マキトに液体を飲ませた。
すると、マキトの体が少しずつ暖かくなり、血色が良くなっていく。一分も経たないうちに意識を取り戻し、マキトはゆっくりと目を開けた。
「ここは? あれ、そういえば俺、確か盗賊たちと戦って……って、ラティっ?」
マキトはガバッと起き上がり、倒れているラティに駆け寄る。
コートニーも転がっているもう一つの小瓶を拾い、ラティの元へ走り出した。
「おい、一体どうしたんだよ?」
「マキト! ゴメン、ちょっとどいて!」
「え、な、なんだよいきなり……てゆーか、それ一体なんだよ?」
その問いかけにも答えず、コートニーはラティにも液体を飲ませる。
妖精は体が小さく、当然のように口も小さい。よって、零さないように飲ませるのが少し大変であった。
それでもなんとか飲ませると、マキトと同じような反応を示し、ラティは無事に目覚めるのだった。
「んぅ……あれ、もう朝なのですか?」
「良かった、気がついたんだね」
「ふゃあ?」
ラティが起きぬけ特有のボーッとした表情で見上げてくる。そして段々と意識が覚醒してきて、マキトと同じような反応を見せていた。
一体何がどうなったのか、マキトとラティが顔を見合わせる中、スラキチが飛び跳ねながら叫んでくる。
「ピキーッ!」
「あっ、そうだったね。ボクたちも急がないと……」
「お、おい、一体どうしたんだよ?」
「後でちゃんと説明するよ! それよりもマキト、体はもう大丈夫? 走れる?」
「えっと……」
コートニーに促され、マキトは試しに立ち上がってみる。体は恐ろしく軽かった。さっきまで気絶していたとは思えないくらいに。
どうやらラティも同じらしく、実に軽やかに空を飛んでいた。そしてそんなマキトたちを、唖然とした表情でコートニーは見ていた。
(さっきの薬……そんなに凄まじい回復力を持っていたんだ。あの人は一体……)
突然現れ、風のように去っていった謎の人物。助けてくれたことは確かだが、本当に味方なのかどうかは分からない。
コートニーがそんなことを考えていると、少し走り回っていたマキトが、機嫌良さげに笑顔を浮かべていた。
「うん、大丈夫。これなら思いっきり走れるぞ……って、どうしたんだ?」
キョトンとしながら訪ねてくるマキトに、コートニーは脱力する。しかし今は移動することが先決だということを思い出し、どうにか立ち直った。
「……いや、とりあえず平気そうなら良かった。とにかく、急いで西へ行こう」
そう言って、コートニーはスラキチを抱えて西へと走り出した。ロップルがその後に続いて勢いよく走り出す。
マキトとラティは状況が掴み取れず、呆然と座っているばかりであった。
振り返りながら「急いでーっ!」と叫ぶコートニーの声が、いやに響いてくるような気がした。
「よく分からないのですけど、わたしたちも急いだほうが良さそうなのです」
「あ、あぁ……おーい、ちょっと待ってくれよーっ!」
マキトとラティは戸惑いながらも後を追いかけ、やがてすぐにコートニーたちに追いついた。流石に戦闘直後であるためか、コートニーの息は荒い。
マキトはコートニーからスラキチを預かり、そのまま手に持って走る。明らかに元気すぎるその様子に、やはりコートニーは疑問を浮かべずにはいられなかった。
(まぁいいや。とりあえずこれも、後でゆっくりと考えよう)
そう決めたコートニーは、とにかく無心になって、ひたすら走るのだった。
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