第3話「ボーロ~怒りのたまごロード~」

良夫は激怒した。







自分に。


そう、自分に。不甲斐ないこの自分に。


目の前で非人道的(非たまごボーロ的と言うべきか)な行為が次々と繰り広げらている。


それなのに自分は何もできない。


悔しい。良夫がこれほどの屈辱を味わったのは生まれて初めてだった。


もはや大学時代に自分が必死に勉強して、会社でも幾度となく発揮してきたそのプログラミングの技術や知識も、たまごボーロ戦争の前には無力。なんの意味も成さないのであった。


「俺は…、何もできないんだ…」


良夫は膝から崩れ落ちた。


絶望。


不安。


恐怖。


鬱だ。一瞬にして鬱だ。もはやなんの希望も見出せない。


良夫がこれほどまでに気力を失うとは筆者である自分も正直驚きである。


しかし。


愛。


自由。


希望。


夢。


足元をごらんよ!きっと転がってるさ!!!!


「そうだな…」

と良夫。


声が届いたようだ。よかった。


なんとか持ち直した良夫。ここで意を決する。


「よし、俺がこの戦いを止めてやる…!!」


素晴らしい。なんたる男気。感服。筆者も脱帽である。


そして良夫が、


「やめろぉぉぉぉぉ!!!」


と、叫ぼうとしたその時。


「やめろぉぉぉぉ!!」


良夫は驚嘆した。






自分にではなく他人に。


その他人とはいったい誰なのか。


はるか遠くから良夫ではなく別の物体から発せられた声だった。


「?」


良夫は声のする方を見た。すると…


「争いはやめるんだ!!!」


なんだろう。小さな黒い集団、それもたまごボーロよりも小さな。


よくよく見てみるとそのとても小さな黒い集団一人一人、いや一粒一粒にもとっても小さく立派な手足が生えている。


良夫の思考は停止した。お休み。脳が一瞬にして大型連休に入った。


もうこれ以上の奇天烈はやめてくれ。あれはいったい何なんだ。


しかしながらどこか見たことのあるような見た目。


不思議と親近感があり初めて見る物体ではなさそう。


「争いはやめろ、こんなことをしても何も解決なんてしないぞ」


先陣を切った一粒の小さな黒い物体。


よく見ると丸いというよりはほんの少しだけ長方形のようにも見える。


既視感。


一瞬。まさに一瞬のアハ体験。


「あいつらまさか…」


良夫はそれに気づくと同時に心の中で声をあげた。


(チョコベビーだ………!!!)




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