第126話 月下の鬼 その7

 A子が目覚めたのは2日後の昼だった。


「あ、A子さんがおきましたー」


 目覚めたA子が最初に見たのは隣にちょこんと座っていたC子の笑顔だった。

 だが次第にC子が不思議そうな顔をしたのでA子は不安がった。


「どうしたの?」

「……A子さん……ですよ、ね?」

「私以外の何に見えるの?」


 するとC子は辺りを見回す。A子も見回すとここは見覚えのない部屋であった。

 否、朧気に見覚えはあった。どうやらここはご主人様の実家の客間のようである。


「はい」


 C子は見つけてきた手鏡をA子に渡した。


「一体何が……」


 次の瞬間、A子の悲鳴が上がった。やがてそれを聞いたご主人様たちが現れた。


「どうした、A子?」

「ななななっ、何ぞこれぇぇ! 誰ぇぇ!?」


 A子は思わず放り出していた手鏡を指して叫んだ。


「か、鏡にイタズラでもしたのっ?」

「し、してません~」


 C子は怯えながら応えた。


「だって、鏡に!」

「あー、それな……」


 ご主人様はため息を吐いた。


「いいか、落ち着いてその目で自分の身体をよく見ろ」

「か、身体……っ?」


 A子は掛けていた布団を剥がし、自分の身体を見た。

 そしてぽん、ぽんっ、と胸や足を触り、やがて自分の顔をつねって唖然とした。


「ど、どういう事?」

「あー、それはだなぁ、……どう説明しようか」


 ご主人様は困った顔をした。


「何で私の身体が伸びてるのっ!」

「成長したと言え」


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