第110話 里帰り(その15)

 それはかつて金屋子神からも言われた言葉であった。


「んー、正確には人で間違いないんだろうけど~魂が人のカタチをなしてなのよ~」

「どういう事ですか……」

「んー」


 怒依は困ったような顔をする。


「あやかしの類ではないとは思うけど、あやふやすぎてちょっとねぇ~。春慶様なら分かるんじゃないかなぁ~」

「兄貴なら……?」

「まぁその話は、後で一緒に温泉に入ってゆっくり訊かれると良いのではないかと~」

「あ、ああ」

「温泉は今掃除中なので先にご飯でもいかが~?」

「ああ、ご馳走になります」


 ご主人様はもう一度A子を横目で見た。

 A子はリュックサックにもたれかけたまま、うーんとへたばったままであった。

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