第108話 里帰り(その13)

「それは兎も角」


 春慶が咳払いする。


「積もる話は後にしようじゃないか。私はまだ仕事があるから怒依、案内は任せる」

「はい~」


 怒依は敬礼して一行を案内した。


「ご主人様」

「何、A子」

「お兄様、凄いメイクですね」

「いや、あれでスッピンだが」

「……ノーメイクであんな美女顔なんですか」

「あまり触れてやるなよ。あの女顔のせいで凶暴な性格に育ってな。身内以外には遠慮無いから」

「根は良い方なんですよ~」


 怒依はへらへら笑いながら言う。


「口より拳が先に出る時点でどうかと……」

「不断向こうに回している連中がハンパ無いですからねぇ~」

「連中?」

「妖怪退治の仕事なんです~」

「妖……」


 思わず絶句するA子。


「俺はそっちの才が無いから良くは知らないけど、実家の裏家業らしい」

「祭主兼弁護士兼退魔師手店どこのラノベの主役ですかソレ」

「言うなよ。本業は弁護士だが、まぁそっちも魑魅魍魎の世界だからなあ」

「裏でも表でも化け物退治ですか。大変そうと言うか……」

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