第107話 里帰り(その12)

「今アンタ妖怪とか……」

「彼女は妖怪“ぬえ”の化身だ」

「え」


 ご主人様の言葉にA子は吃驚する。


「10年前、京都で彼女を封印していた宝玉をうっかり壊したバカが居てな、暴れ回ったので兄貴が法力で調伏した」

「法力というより精力でしたけど~」


 そう言ってぬえは頬を赤らめて身もだえた。


「あんなの初めて~」

「……」


 それを聞いて呆れ顔になったB子はやがてご主人様を見た。


「凄いのは血なんですね」

「うるさい黙れ、そもそもあれはお前が悪い」


「ご主人様!」


 そんな時、A子がドヤ顔でご主人様の方を向いて声を掛けた。


「?」

「やっと名前を知りましたよ! 碑ノ輪秋徳! それがご主人様の名前なんですね!」

「まだ根に持っていたのか」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る