第75話 秋葉原探訪(その14)

 メイド喫茶を後にしたご主人様一行。


「譲り受けたコタツが人のなりで歩いてくれるので持ち運びが楽ですね」

「そうじゃろそうじゃろ。使わない時には買い物にも付き合ってくれるしな」

「いやいやいや」


 苦笑いするご主人様の横にいたたつこが指した。


「あれ、なんです?」


 そこには、今や秋葉原では中央通りに当たり前のように出店している大人の玩具を売る店があった。


「ヨイコハシラナクテイイバショダヨ」

「ご主人様何故ロボ語」

「キニスンナA子」

「なんか、さっきのおねーさんたちがきていためいどふくとかおいてますね。あとみずきのぽすたーとか」

「いいからっ! よい子は黙ってスルー!」

「そいつは見かけは子供だが実年齢は」

「50です」


 ご主人様たちは思わず固まった。


「そ、そりゃあ、年季の入った電気コタツですからね……」


 A子は困惑した顔で言う。


「ワシも長い事ここにいるが、この店には今まで入った事がないのぅ」

「何そのワザとらしい言い回し」

「ご主人様は入った事無いんですか」

「いや、秋葉原来てまで入る店じゃないだろ普通!」

「いえ、全然」


 A子は頭を横に振った。


「まさかお前……入った事が……?」

「お嬢様、不潔です!」

「何笑いながらいいやがるこのバカ猫」

「えー、だって面白そうですしぃ」

「そう言う訳で、入りたい人手ぇあげてー」


 さっ、と挙げられる4つの右手。唯一挙手を拒んだご主人様に絶望の二文字がのし掛かる。


「そう言う訳で裏秋葉原編開始ー」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る