第61話 秋葉原探訪(その1)

 ご主人様たちは赤外線式電気炬燵を求めて秋葉原を訪れた。

 改札を出ると、B子が愕然とした顔で辺りを見回した。


「どうした?」

「ココハドコデスカ」

「何故ロボ語。どこから見ても秋葉原じゃない」

「嘘」

「嘘じゃ……」

「秋葉原と言ったら闇市で牛がリアカーひっぱってるでしょ!」

「「そっちかいっ!」」

「秋葉原なのに神田市場が無いじゃない! あの薄汚いラーメン屋のいすゞも無いなんて!

 サトームセン、ロケットはどこ行ったの!?」


 B子は華やかな、しかし記憶のそれとはかけ離れた、変貌した秋葉原を前に愕然となった。


「……ご主人様、このバカ、私より若く見えるのに私より年上の様に感じるんですが」

「いや、どう見てもA子のほうが小学……」


言い切る前にA子はご主人様の足を蹴った。


「私の記憶でも極端に変わってますね、この街」

「俺が最初にこの秋葉原に来たのは小学生の頃だが、確かに代名詞の“電気街”だったんだがなあ」

「今じゃすっかり“オタク街”ですよね」


A子はアニメのキャラが描かれた看板を見つめながら言う。


「家電売ってるのって、電気街口側だとそこのヤマダ電機くらいですよね。私は“電気街”の頃なんて全然知りません」

「何あの高層ビル! 秋葉原デパートはどこ行った!」

「「まだ言ってる……」」

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