第60話 炬燵を買いに行こう

3人は近所のショッピングモールの家電コーナーで炬燵を物色していた。

手ごろな価格で家具調炬燵が売られており、三人で足を伸ばしても余裕の大きいサイズもあった。

暫くしてA子とご主人様は、不思議そうな顔で炬燵をじっと見ているB子に気づいた。


「どうした?」

「……赤外線管が無い」

「そう言えば」

「今の炬燵はヒーター管式ですよ」


するとB子が嫌そうな顔で二人をみて、


「なんで? 炬燵と言ったらあの赤外線でしょ!?」


B子が力説し始める。


「あの安っぽそうな真っ赤な光のポカポカさが堪らないんですよ!

 炬燵の中で丸まって真っ赤になってる楽しさと来たらもう!」

「アンタは猫か……」

「あー」


ご主人様思わず苦笑い。A子はB子が飼い猫のベニの化身だという事をまだ知らなかった。


「と言っても、どれもこれもヒーター管式だなあ」

「赤外線式は消費電力高くありません?」

「いやいや、赤外線式こそが炬燵の醍醐味であって! 無いなら他を当たりましょう!」


そう言ってB子は何かをひらめいた。


「そうだ! 秋葉原行きましょ、秋葉原!」

「秋葉原って今、炬燵売ってたか?」

「フィギュアやゲームしか記憶に……」


A子とご主人様は難しい顔をして見合わせる。


「行くったら行くの!」

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