第57話 生徒会長と僕
「あらあら、あなた達がここでお弁当を食べているのは久しぶりね」
「あ、はあ、どうも」
僕は少し頭を下げて言いました。
生徒会長の横には見知らぬ男子生徒が立っていました。
「あれ?二人?え?双子だったの?」
二人の白い女学生を見た生徒会長は驚いて言いました。
「いや、まあ、はあ、なんというか、まあ、そんな感じです」
僕は答えました。
「へー、知らなかったわ。ビックリした。ふーん、そうだったんだ」
生徒会長は腕組をして片手を顎に当てました。
「まあ、いいわ。で、どう?あなたの調子は?そろそろキツいんじゃない?」
「はあ?えーっと、何がですか?」
「何がって、決まっているじゃない?あなたの右腕の傷よ。そろそろ毒が右腕全体に回って苦しくてもがきだす頃。なんじゃない?」
「えっと、右腕ですか?」
僕は右腕を目の高さに上げました。
「いや、別に」
「ええ!」
生徒会長は隣に立っている男に話しかけました。
「ど、どうなっているの?ちゃんとやったのよね?」
「はい、どうしたことでしょう。ちょっと、分かりません。おかしいな?」
「分かりませんって、あなたねえ、どうなっているのよ!」
「あのー、ちょっと、ちょっと、待って」
僕は言い争いだした生徒会長と見知らぬ男に割って入りました。
「どうなっているんですか?事情を教えて貰えませんか?」
「事情?ふん、当事者が何を言っているの」
「いや、僕、身にまったく覚えがないんですけど。生徒会長が僕を襲ったんですか?」
ギロリ!
目が釣り上がって怖い顔で生徒会長は僕を見ました。
生徒会長はハッと何かに気がついた様に僕から視線を移動し、二人の白い女学生を見ました。
「二人?双子?増えた?ということは、あなたも二人に増えていた、とか?」
「えーっと、いや、まあ、なんというか」
僕は何と言っていいのか分かりませんでした。
「ふーん、そう。そうだったの。ふふふ、やるわね」
生徒会長はニヤリと笑いました。
「いいわ、もう一人もやってしまえばいいだけだから。さあ、やってしまって」
生徒会長は隣の見知らぬ男に言いました。
「はい」
生徒会長の隣の見知らぬ男の肩から黒いオーラが立ち始めました。
そして、男の右腕が変形しだしました。
「ちょ、待った、会長!ちょっと待ってください!」
僕は言いました。
「うがあああああ!」
見知らぬ男は腕の変形と共に叫びました。
その腕は何か獣の頭部の様な形になっていきました。
「うがうう!」
獣が吠えた様な音を聞いた瞬間、男の変形した腕に頭部を飲まれた白い女学生が僕の前に立っていました。
その腕は白い女学生を持ち上げました。
そして、逆さになった白い女学生は男の腕に飲まれていきました。
「ハハハハハハハハハ!凄いわ!」
生徒会長の笑い声が聞こえました。
「マリヤさん!」
僕は叫んでいました。
「はい、金さん」
僕の後ろで白い女学生の声がしました。
「あ、ああ?」
そこにはもう一人の白い女学生が立っていました。
「大丈夫です。金さん落ち着いて」
白い女学生は僕に言いました。
「今から、こいつをやっつけますから」
白い女学生はそう言うと、腕の変形した男の前に立ちました。
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