第46話 地下を進む

 走り続けた僕達は山の斜面に穴のある場所に来ました。

「さあ、この穴に入って」

 兵士が言いました。

 5人居た兵士は2人だけになっていました。

 僕と2人の白い女学生は穴の中に入りました。

 そこには細長い何か遊園地にある乗り物のような物が在りました。

「乗って」

 僕達はその乗り物に乗りました。

「しばらく頭を低くして」

 兵士の声がしました。

 直ぐに細長い乗り物は動き出しました。

 僕の視界は直ぐに真っ暗闇になりました。

 僕は頭を下げました。

 ゴーっとレールの上を走る音と共に速度が上がりしました。

 ドーン!と遠くで音がしました。

 その音の後に爆風が僕の乗っている乗り物を押しました。

「うわあ」

 乗り物は暗闇の中を進み続けました。


 長い間僕は暗闇の中を乗り物に乗って進みました。

 ふと、僕は僕の回りがぼんやりと見える事に気がつきました。

 僕はチラリと後ろを見ました。

 そこにはやはり白い女学生がボーッと白く光っていました。


 シュルシュルシュル。

 僕達の乗っていた乗り物は速度を落としました。

 そして、薄暗い光の灯った場所に止まりました。

 そこは小さな地下鉄の駅の様な場所でした。

「降りて」

 兵士が言いました。

「いてててて」

 僕は腰に手を当てて体をのばしました。

「ここで少し休みます。その部屋に昼食が用意されています。15分後に出発します」

「はあ、えーっと、あの、僕達は何処に行くのでしょうか?」

「それは私には答えられません」

「ああ、そうなんですか」

「ええ。さあ、どうぞ」

 兵士に促されて僕と2人の白い女学生は壁に開いた入り口に入りました。

 部屋にはテーブルがあり、その上に弁当箱が2つ在りました。

「やっぱり。ピンクからGOレンジャー本部にはちゃんと連絡が行ってないか。えーっとまあ、食べようか」

 僕達は3人で2つの弁当を食べました。


 僕と2人の白い女学生が弁当を食べていると、2人の兵士が部屋に入って来ました。

 そして銃を僕達に向けてかまえました。

「おい、動くな」

「えっ?」

「本部と連絡を取った。連れていくのは2人のはずだ。なぜ、ここに3人居る?」

「えっと、これには少し事情がありまして。えっと、僕は分身のクローンではなくて本人でして、それと、彼女は本人とクローンの2人なんです」

「なんだと?」

「分かってもらえましたか?」

「いや、さっぱり分からん」

「いや、お願いですから、GOレンジャー本部の方にそう伝えて貰えますか。そうすれば分かりますから」

「GOレンジャー本部?」

「ええ、お願いします」

 1人の兵士は部屋を出て行きました。

 もう1人の兵士は銃をかまえたまま僕達を見ていました。

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