第43話 クローン戦争

 僕が体育館の裏に行くとそこにはすでに二人の人が居ました。

 一人は白い女学生で、もう一人も白い女学生でした。

「ああ、マリヤさんも?」

「ええ、大変な事になってしまって。だって、教室に私が二人いるのですから」

「まあ、ねえ、僕も同じ目にあったから」

 僕はコンクリートの段差に腰かけました。

 一人の白い女学生は僕の右側、もう一人は僕の左側に座りました。

 二人の白い女学生に挟まれて座る僕。

 そして、二人とも僕の腕に腕をからませました。

 僕はとても落ち着かない気持ちになりました。

「え、えーと、GOレンジャーの人たちが休み時間に分身さんを引き取りに来てくれるって事になっているから。大丈夫だよ、まー、ここで待っていよう。ほら、僕の分身さんは今授業を受けていて、それ待ちって事で僕もここに来たんだ」

「そうですか」

「うん」


「ねえ、私の分身さん」

 白い女学生が言いました。

「はい、なんでしょう」

「あなたはそれで良いですか?GOレンジャーさんと一緒に行くということで?」

「はい、ここに居ても混乱が生じますし、それが良いと思います」

「そう」


「しかし、僕の分身と白い女学生の分身はGOレンジャーの所でどうなるんだろうね?」

 僕は白い女学生に言いました。

 白い女学生は少し考えていました。

「この私の分身は私から離れた私の一部なのかしら?それとも何かで私を複製した物なのかしら?どう思います?」

「いやー、どうなんだろう?」

「もし私の一部なのなら、私は何かを私の中から失ったということになります」

「そうだね」

「あの、大丈夫です」

 分身の白い女学生が言いました。

「え?」

「あなたは何も失っていません。ただ、あなたの情報をコピーした物が私なのです」

「ふーん、そうなの」

 僕は言いました。

「はい。だからあなたの事は心配せずとも大丈夫ですよ」

「はあ、けど、なんで君たちは分身になる必要があったんだ?というか、あの遺跡のあの施設で宇宙人は何で分身を作る必要があったのかな?」

「彼らは人手が要る時などにクローンを使っていた様です」

「へー、本当に?」

「はい」

「ふーん、そうなんだ。えーと、そうだ、宇宙人はあの遺跡を放って何処に行ったのかな?」

「それは、あの・・・戦争になって滅んでしまったのです」

「ふーん誰と戦争になったの」

「あの・・・クローンとの戦争で」

「ええ!」

「宇宙人はクローンに滅ぼされました。そして、クローンも時が経ち消えてしまった」

「何処に?」

「クローンは生殖機能が無いので、寿命が来たら子孫を残せず、消えるしかありませんでした」

 白い女学生の分身さんは僕の腕をギュッと抱きしめました。

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