第38話 分身が出た
地球外生命体が造ったという地下遺跡。
僕と白い女学生はその地下遺跡を発掘するバイトに来ていました。
緑色に光る壁の建物の間を僕達はうねうねと歩きました。
「何処かの建物に入ってみようか?何か発掘しなくちゃならないしさ」
僕は白い女学生に言いました。
「はい」
「えーと、じゃ、ここに入ってみよう」
僕と白い女学生は入り口が開いていた建物に入りました。
建物の中は壁が白く光っていました。
「いやー、便利な物だね。どうやって光っているのかな」
「さあ」
部屋の床には壁と同じ光を放った杭が数本立っていました。
「何だろう?」
「さあ、分かりません」
僕はその杭の一つに手を置きました。
「あ!」
白い女学生が声を上げました。
僕は白い女学生が見ている方を見ました。
その僕が見た壁には僕と白い女学生が映しだされていました。
「うわ!」
僕はそこに誰かが居るのかと思い、ビックリしました。
「なんだこれ?」
僕は手をふってみました。
そうすると、壁に映った僕も手をふりました。
「なんだ?カメラでもあるのかな?」
僕はその壁に近よりました。
壁に映った僕も近よって来ました。
僕が右手を上げると、壁に映った僕も右手を上げました。
「鏡ではないから、カメラで映して投影しているようだけど・・・」
僕は壁のまん前に来ました。
壁に映った僕も壁のまん前に来ました。
僕は壁に顔を近づけました。
壁に映った僕の顔が僕の目の前にありました。
「カメラが無いのにどうやって映しているんだろうね?」
僕は壁に右手をのばしました。
僕の右手は壁には触れず、壁の中の僕の左肩に触れました。
「え?」
そして僕の左肩に壁の中の僕の右手が触れました。
「うわ!」
とっさに僕は右手を引いて壁から飛びのきました。
そして壁を見ました。
壁の中の僕はそこでただ立っていました。
「なんだこれ!」
白い女学生が僕の腕に腕をからませました。
壁の中の女学生はゆっくりと歩いて来て、壁の中の僕の腕に腕をからませました。
「鏡ではないけど、鏡みたいな物」
白い女学生が言いました。
「何だこれ!壁の中の僕が僕に触ったよ」
「こちら側に取り出せるかもしれませんね」
「ええ!それはヤバいよ」
「やってみましょう」
白い女学生は僕の手を取って壁に向かって歩きました。
そうすると、壁の中の僕と白い女学生はスルリと壁が無い様に僕達の方に歩いて来ました。
僕達が止まると、壁の中だった僕達は僕達の前に立っていました。
白い女学生が手を伸ばして壁の中だった白い女学生に触れました。
「分身」
「分身?」
「ねえ、あなた喋れますか?」
白い女学生が言いました。
「はい、喋ることはできます」
分身の白い女学生が言いました。
「あなたは?」
白い女学生が分身の僕に言いました。
「はい、喋ることはできます」
分身の僕が言いました。
「ねえ、金さん」
白い女学生が僕に言いました。
「ん?」
「この者たちを連れて行きましょう」
「えええ?」
「たぶん、できます」
僕と白い女学生、そして分身の僕と分身の白い女学生は建物から出ました。
「ど、どうするの、これ?」
「さあ。そうですね。発掘の手伝いをしてもらいましょうか」
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