第33話 バイト先がつぶれる

 土曜日の学校が昼に終わり、僕と白い女学生は僕の家に行きました。

 先週も夕方にあるバイトの時間まで、白い女学生は僕の家に来ました。

 僕達は母の作ってくれたうどんを台所で食べました。

 そこには母と妹も居ました。

 みんなで無言でうどんをすすりました。


 食べ終わってから、僕と白い女学生は僕の部屋に行きました。

 僕は宿題をやり始め、白い女学生は僕の本棚から漫画をだして読み始めました。


 僕の宿題が終わった時も、白い女学生は漫画を読んでいました。

「ねえ?」

 僕は白い女学生に声をかけました。

「ん?」

「面白い?」

「んー」

「そう」

「んー」

「バイトまでもうちょっと時間があるけどどうしようか」

「んー」

 白い女学生は漫画に集中していて「んー」としか返答しませんでした。

 僕も漫画を読むことにしました。


 トントンと僕の部屋のドアがたたかれて、妹がお茶とお菓子をお盆に載せて部屋に入って来ました。

「お兄ちゃん、お茶持ってきたよ」

「おお、ありがとう」

 妹は漫画を読む、僕と白い女学生を見比べながら部屋を出て行きました。

「お茶、来ましたよ」

 僕は白い女学生に言いました。

「ありがとう」

 白い女学生は漫画本をテーブルに置いてお茶を飲みました。

「えーと、退屈じゃない?」

 僕は白い女学生に言いました。

「いえ、退屈じゃないです」

「そう?」

「ええ」

 僕達はお菓子を食べてお茶を飲みました。

「えーと、一億円の事なんだけどさ、ほら、刀が取り出せたんだから、一億円も出てこないかな」

「さあ、どうでしょう」

「出てきて欲しいなー」

 白い女学生は僕を見て黙っていました。

 僕の頭の中はグルグルと回りました。

 どう考えても他に会話する話題が見つかりませんでした。

「えーと、じゃ、まだ時間あるし、ちょっと散歩してからバイトに行こうか?」

「はい」

 そうして、僕と白い女学生は家を出ました。


 僕はレストランの近くに来ると、レストランの様子が変な事に気がつきました。

 レストランの中に光が灯っていませんでした。。

 駐車場の入り口にロープが張ってあり、車が入れない様になっていました。

 そして僕は入り口ドアに貼り付けられた紙を見ました。

 白い女学生もその紙を見ました。

「つぶれたみたいですね」

 白い女学生が言いました。

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