第32話 GOレンジャー隊員勧誘

「おはよう」

 僕は隣の席の女の子に声をかけました。

 昨日、白い女学生が蹴り飛ばしてしまった女の子でした。

 まあ、白い女学生のおかげで、僕は彼女に刀で真っ二つに切られずにすんだのですが。

「ねえ、あなたの彼女、何よあのゲゲゲちゃんは?」

「いや、別に彼女というわけではないんだけど」

「気持ち悪いわ。なんか妖怪みたいで」

「いや、まあ何というか」

 確かに白い女学生は人間ではない感じなのです。

「二度と会いたくないわ」

「いや、昨日は本当にごめん」

 隣の席の女の子は僕に一枚の紙を差し出しました。

「今、隊員募集しているのよ。入ってくれない?」

 その紙には「GOレンジャー募集」と書かれていました。

「この二週間で隊員がゴッソリと減ったわ。あなたのせいよ」

「いや、俺のせいって事は」

「最初は週1で良いから」

「いや、やだよ」

「なんでよ、お給料も良いわよ。お金欲しいんでしょ?」

「まあ、それは、お金は欲しいけど、この仕事は危ないでしょ」

「大丈夫よ、あなたなら生き残れるわ」

「けど、やっぱりいやだよ」

 隣の席の女の子はため息をつくと天井を仰ぎ見ました。

「みんなかってなんだから」


「よう、昨日は凄かったらしいな」

 クラスのツーリング友達が僕に声をかけてきました。

「ああ、お前も居たのか?昨日」

「いや、俺は早くに帰ったから見なかったんだけど、悪魔が学校に攻めてきたって?」

「ああ、気持ち悪いのが沢山来てな、なんか組織された部活動の人達が戦ってたんだけど、あれって何かな?」

「あれってのは?」

「いや生徒会長の指示で部活動が軍隊みたいに動いていたんだけど」

「ああ、あれか。お前は学校休んでいたから知らないだろうけど、俺たちも訓練したよ。有事の際の訓練」

「有事の際の訓練?」

「おお、俺も訓練するまで知らなかったんだけど、この学校はちょっと普通じゃないらしい」

「というと?」

「いや、分からんけど、そんな訓練すること自体が普通じゃないからな」

「まあ、確かに普通じゃなかった」

「それより、今夜のツーリングも行くだろ?」

「ああ、どうしようかな」

「来いって、大丈夫だって、今夜は」

「うーん」

「じゃ、またバイトに迎えに行くからな」


 まあ、今日は土曜日なので、学校は昼まででした。

「お願い。ねえ、お願い。本当にお願い。週1で良いからさ、バイトに来てよ」

 僕の隣の席の女の子は午前中ずっと僕にバイトの勧誘をしていました。

「嫌だよ」

 僕は教室を出ました。

 すると、そこにはやはり白い女学生が立っていました。

「バイトの時間まであなたの家に行っても良いですか?」

 白い女学生は僕に言いました。

「ねえ、あなたにバイトに来てもらわないと私、とても困るのよ」

 と言いながら僕の後ろから隣の席の女の子が教室を出てきました。

「あ!」

 白い女学生を見た隣の席の女の子はサササと逃げるように行ってしまいました。

「あれは誰ですか?」

 白い女学生が僕にききました。

「ああ、あれはGOレンジャーピンクの人だよ」

「バイトとは?」

「いや、なんか、僕をGOレンジャーに勧誘してきてさ。給料は良いらしいんだけど」

「やるんですか?」

「いや、たぶん、やらない。危なすぎるよ」

 僕と白い女学生は僕の家へと行きました。

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