第27話 誘拐される

「これ、あげる」

 朝の教室で僕の隣の席の女の子が僕に小さな紙袋を手渡してきました。

「ええ?何?」

「開けてみて」

「お、おお」

 僕は紙袋を開けて逆さにして中の物を手のひらに落としました。

 それは携帯電話に付けるストラップでした。

「おお、ありがとう。え?けど何でこれを僕に?」

「え?えーっと、何というか、ただのプレゼンとよ。特に意味は無いわ。というか、君ともっとお友達になりたいっていうか・・・」

「え?俺と?君が?まあ、貰っておくよ」

 僕は早速そのストラップを携帯電話に取り付けました。

 その携帯ストラップには金色の小さなGOレンジャーの人形が吊るされていました。

 僕はこのストラップを仲直りのプレゼントなんだと思っていました。



「おい、電話に出ろ!」

 男の声がしました。

 目隠しをされた僕は口に貼られたガムテープをビリッと取られました。

「た、助けて」

 僕は直ぐにまたガムテープを口に貼られました。

「いいか!オタクの息子さんの命が欲しければ一億円用意しろ。警察には言うな。また電話する」

 僕はロープで椅子にグルグルとくくり付けられていました。

「いいか、静かにしていろ」

 男の声に僕はうなずきました。

 僕は誘拐されていました。


 学校を終えてから僕は白い女学生とバイトに行きました。

 そのバイトからの帰り道、僕は何時もの様に白い女学生を神社の入り口まで送りました。

 そこから家へ向かう僕の隣に車が止まったかと思うと、僕の視界は暗闇になり僕は誰かに車に引きずり込まれました。

 そして数発袋の中の僕は殴られました。

「命が欲しければ静にしろ」

 それからだいぶ時間が経ったので、多分、今は次の日の朝くらいだと思われました。

 お腹が空きました。


 一般家庭の僕の家に一億円を請求するとは、やはり話が変でした。

 となると、僕が昨日手にした一億円の情報が広まった結果がこれなのだと思いました。


 と、まあ、考えていると、遠くの方でバタンバタンと何かが暴れている様な音がしました。

 その音はどんどん近づいてきました。

 そしてその音は僕の直ぐ近くまでやってきました。

「何だ貴様等?ぐわっ!」

 男の声が聞こえた後でバンッとドアが開けられた音がしました。

「GOレンジャー参上!」

 僕は目隠しを取られ、口からガムテープも取られ、椅子からも開放されました。

「ちょっと早いな?」

 僕はすぐそこに居たGOレンジャーピンクに言いました。

「そう?今までずっと探していたのよ。あなたの事を」

「え?けど誰かが僕の家に電話したのは五分ほど前だよ」

「何言ってるの、昨夜から行方不明だって知らせがあって、みんなで心配していたのよ」

「ふーん、けど、なんでGOレンジャーが行方不明者を捜索してるの?」

「だって、君は特別だから」

「え?」

「特別要注意人物」

「へー、そうなの?」

「気をつけなさい、君、なんか、多方面から狙われているみたいよ」


 GOレンジャーに連れられて、僕は家に帰りました。

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