第25話 プレゼント

 博打部屋から出た僕と白い女学生は隣室にいきました。

 そこには色々と人が居てワイワイと酒を飲んだり何か食べたりしていました。

「良くこれだけ勝ったものですね」

 白い女学生が僕に言いました。

「うん、怖いほどに勝ってしまった」

「けど、あれほどのお金を私とあなたで持って帰る事はできないでしょう」

「どうしようか」

「持って運べる物を買いましょう」

「買う?」

 白い女学生は部屋の隅に座っていた男に手招きしました。


「どうぞ、ご覧下さい」

 若い男の商人が僕と白い女学生に言いました。

「私が選んでも良いですか?」

 白い女学生が僕に言いました。

「どれでも好きなのを選んで良いよ」

 僕は白い女学生に言いました。

「そうですか、それじゃあ・・・」

 白い女学生は目の前に広げられている商品を品定めしました。

「私はこれを・・・」

 白い女学生が手にしたのは赤い勾玉の付いたネックレスでした。

「あと・・・ 」

 白い女学生は僕を見ました。

「これをこの人に」

 白い女学生が手にしたのは地味な色の巾着袋でした。

「はい、こちらの勾玉と、こちらの巾着袋で」

 僕は白い女学生に手渡された巾着袋を手に取りました。

 特になんともない巾着袋でした。

「それではお会計は8億5千万ほどになりますが、お支払いの方はいかがいたしましょうか?」

 若い男の商人が言いました。

「それは、この人がこの家に預けているお金から引いておいてください」

 白い女学生が言いました。


「えーとですね」

 僕は若い男の商人に声をかけました。

「はい」

「この刀をちょっと見せてもらえますか?」

 僕は広げられている品物の中で気になっていた刀を指差しました。

「この刀ですか?」

「ええ」

「よろしいですよ」

 若い男の商人は僕に刀を手渡してくれました。

 その刀はあまり重くありませんでした。

 僕は刀を鞘から少し抜いてみました。

 刀の刃は淡い赤色に光って見えました。

 僕は刀を鞘に納めました。

「これはいくらですか?」

「この刀は4億円です」

「はあ、4億円・・・」

「そうですねえ。この刀をお買いになると、あなたがこの家に預けたお金の残りは1億円というところでしょう」

「うーん、そうか」

 僕は白い女学生を見ました。

 白い女学生は僕にキュッと笑ってうなづきました。

「じゃ、この刀をください」


 若い男の商人は商品をしまうと部屋を出ていきました。


「全部で12億5千万円か」

「そうですね。この勾玉が3億円、その巾着袋が5億5千万円ほどです」

「へえええ」

 僕がこの家に預けたお金が13億5千万円ほどでしたから、この買い物で残りは1億円ほどになりました。

「えーと、この巾着袋は何か特別な機能とかあるのかな?」

「この巾着袋に残りのお金を入れましょう」

「これに?」

「はい」

「少し小さくないか?」

「大丈夫ですよ」

「ふーん、大丈夫なのか」

 僕は白い女学生の首にかけられた赤い勾玉を見ました。

「その赤い勾玉も何か特別な機能とかあるのかな?」

 白い女学生は頬を少し赤く染めて口に手を当てました。

「いえ、これはあなたから私へのプレゼントです。うれしいわ」

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