第24話 胴が割れる

 山になった札束が僕の目の前にありました。

 僕はダラダラと汗をかいていました。

 目の前の大きな合力の男が僕をにらんでいるのです。

「はい、入りました」

「さあ、はった、はった」

 僕は手に持っている6枚の札を見ました。


 ここまで3連続で4の数字が当たりでした。

 まさか、4回連続4ではないだろうと僕は思いました。

 勝つと増えすぎるので全額を賭けるのは止めました。


 僕は4の札と1億円ほどの金をぞぞぞと前に押し出しました。

 周りの人々は金を賭けるでもなく僕を見ていました。

「はい、勝負!」

 鬼の様な合力の男が声をかけると、静かに胴の女が札を開けました。

「4!」

 僕の腕はブルブルと震えながら札を開けました。

 僕はまた勝ってしまいました。

「うーーーーーん」

 鬼の様な男が唸りました。

 僕の目前にはさらに札束が増えました。

 ドーンと5億円ほど。

 こんなにお金に囲まれているのに僕は凄い危機感を持っていたのです。

 白い女学生は何処にいってしまったのか。

 早く帰ってきてほしい。


「それでは、これで失礼します」

 女の胴が立ち上がり、僕をきつくにらんでから退出しました。


「胴が割れましたね」

 僕が後ろを見ると白い女学生が立っていました。

「勝ち過ぎです」

「まってたよ!何処に行っていたんだよ」

「用事です。それは終わりましたが、これでは、しばらくここを出れそうもないですね」

 白い女学生はキュッと口を吊り上げて笑いました。


「ちょっと、あなた」

 白い女学生は僕の前に座っている鬼の様な合力の男に声をかけました。

「はい、何でございましょう」

「この人と私はちょっと休憩します。お金を預かってください」

 白い女学生はそう言うと100万円の札束を鬼の様な男に投げて渡しました。

「はい、承知しました」

 チップを受け取った合力は僕の金を数え始めました。

 僕は白い女学生に手招かれて立ち上がりました。

 僕の全身から出た汗が冷たくなっていました。

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