第22話 花会へ行く
「これからこの2万円を増やしにいきましょう」
学校の門の前で集金人が行ってしまってから白い女学生は僕にそう言いました。
「どうやって?」
「今日はちょうどそこに用事があるので、一緒に来てください」
「え?何処に?」
「花会です」
「花会?」
「そう、花会」
「花会・・・」
花でも売るのだろうか?
「それでは時間がまだあるのであなたの家にいきましょう」
「はあ」
僕と白い女学生は僕の家にいきました。
白い女学生は僕の部屋で漫画をよみました。
僕は宿題をやりました。
「お兄ちゃん、ご飯」
夕方、妹がカレーを2つ持ってきました。
「お邪魔してます」
白い女学生が言いました。
「いえいえ、どうぞごゆっくり」
妹はそそそと出ていきました。
「いただきます」
僕と白い女学生はカレーを食べました。
「じゃ、そろそろいきましょう」
カレーを食べ終わると白い女学生が言いました。
僕と白い女学生は家を出ました。
「手を繋いでください」
僕は白い女学生と手を繋ぎました。
しかし、こんな夜に花会とは、どこでやっているんだろう?
などと考えていると、何時の間にかまた暗闇の中を歩いていました。
僕の手を引く白い影だけが見えました。
「裏道か」
僕はそう思うだけで声には出しませんでした。
ここでは話すなと前に白い女学生にい言われたのを覚えていました。
僕たちは暗い中をまっすぐに歩き続けました。
気がつくと近所の神社に着いていました。
「あれ?」
「なんですか?」
「空がまだ赤い」
「ええ」
「けど、もう日は沈んでたけど」
白い女学生はキュッと口を吊り上げて微笑みました。
「あなたの2万円をかしてください」
「え?2万円?」
「はい。ここに入るのにはそれが必要なのです」
「はあ」
僕は2万円を財布から出して白い女学生にわたしました。
「さあ、こっちです」
僕は白い女学生の後についていきました。
神社の境内の裏に戸がありました。
そこに爺さんが居ました。
僕と白い女学生はその前にいきました。
「これは、これは、ハクダさま」
爺さんが白い女学生に言いました。
「おはようさん」
白い女学生が言いました。
「今日は何か御用で?」
「ええ、花会に」
「ほほう、これは珍しい、ハクダさまが花会ですか」
白い女学生はキュッと微笑むと僕の2万円をチラッと爺さんに見せました。
「そうですか、そうですか、それではお楽しみくださいよ」
そう言うと爺さんは戸を開けました。
戸に入っていく白い女学生に続いて僕も入りました。
「けっけっけっけっけ」
僕の後ろで爺さんが笑っている声がしました。
僕が振り返ると戸に半分隠れて爺さんの目はランランと赤く輝き、口を大きく曲げて笑っていました。
そしてその戸がバタンと閉まりました。
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