第18話 暴走族とオカルト抗争

 僕たちは再び街に向かってバイクで走り出しました。


 街に入る直前の交差点。

 その交差点には沢山のバイクが停められていました。

 そして、僕達の集団が来ると道を閉鎖したのでした。

 僕たちは仕方なくその前で停まりました。

「なんだ?」

「なんだろな、わからん」

 先頭にいた人たちが道を閉鎖した人たちと何やら話していました。

「おーい、金角さーん」

 前の方から一人、僕の方に走ってきました。

「金角さん、なんか、君に用があるって言っているんだけど」

「え?僕ですか?」

「うん、ちょっと来てくれないかな」

「はあ」

 僕は集団の一番前までいきました。

 そこには大きな男が立っていました。


「おお!お前が金角か?」

「はあ」

「お前の伝説は聞いているぜ」

「伝説?」

「最近、すげえ大暴れしているってな」

「いや、そんなことはないでしょう」

「すこし、お手合わせを願いたい」

「ちょ、ちょっと待ってください。伝説って、まだ3時間も・・・」

 金角の名をかたっていないのに。という前に、僕の肩に何かが絡みつきました。

 僕が肩を見ると、それは白い手でした。

「金さん」

 白い女学生が僕の背後に立っていました。

 そして僕に小声でつぶやきました。

「金さん、お前の怖い物を僕がよんでやろう、と言っておあげなさい」

「え?」

「大丈夫です。言っておあげなさい」

「え、けどさ」

「いいから」


 僕は大きな男に向き直りました。

「えーっと、お前は怖い目が見たいのかー?」

「ああん?」

「ええと、僕が怖い物をよんでやろう」

「ああ?何言ってんだ?」

「ええと」

 大男の携帯電話が鳴り初めました。

「それに出なさい」

 白い女学生が言いました。

 他にもピロピロと携帯電話が鳴り初めました。

 あっちでピロピロ、こっちでピロピロ。

 大男は携帯電話にでました。

「もしもし」

 しばらく大男は携帯電話に聞き入っていました。

 パチンと大男が携帯電話を閉じました。

「なんだこれは?イタ電じゃねえか」

「え?」

「俺の親父は3年前に死んでるんだよ。馬鹿が」

 周りからは「じいちゃん?」「おばあちゃん!?」「ママ?」などと言う声がしました。

「馬鹿ねー、自分の親の声も覚えていないのかい?」

 白い女学生が言いました。

「親父さん、怒ってたんじゃないの?馬鹿息子に」

「うるさい!何だお前は!」

「しょうがないね。じゃ、信じさせてあげるわ」

「うわああああ!」

 大男が叫びました。

「うわああああ!」

 周りからも悲鳴が上がりました。

 動こうとした大男がひっくり返りました。

「な、なんだこれ?」

 それは腕でした。

 地面から生えた腕が大男の足に絡みついていました。

 その腕は、大男の体を這い上がっていました。

 そして、頭が出てきて、体が出てきて、足が出てきました。

「ウワああああ」

 僕はそうやって何対もの人が地面から人の足を這い上がってくる光景を見ていました。

「うわああああ!助けてくれ」

 その光景はまるで地中からゾンビが這い出てくる様でした。

「どうです?怖いでしょう」

 白い女学生が僕に言いました。

「こ怖いけど、これ何?」

「地震雷火事親父の親父ですよ」

「はあ?」

「彼の親父さんは死んでいたのですね」

「ええっと、けど、他にも何かいっぱい出てきているけど?」

「多い方が怖いでしょう?」

「まあ」

 僕は大男の方を見ました。

「ひええええええ」

 地面から出てきた人々は大男を捕まえて地面に引きずりこもうとしていました。

「助けて、助けて、助けて」

 大男は僕のほうに懇願していました。

「ねえ。これってちょっとやり過ぎなんじゃないかな?」

 僕は白い女学生に言いました。

「そうですか?」

「うん」

「それでは、この辺にしておきましょう」

 突然、地面から這い出して来た人々が消えました。


「おい、何をやっているんだ?」

 僕はビックリして声がした後ろを振り返りました。

 それは僕のクラスメイトでした。

「おお、見たか?」

「何を?」

「えっとこれをさ」

「ああ、こいつ等、なんでいきなり倒れだしたんだ?」

「え?見えてないのか?」

 僕は白い女学生を見ました。

 白い女学生は唇をキュッと吊り上げて笑いました。

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