第15話 銀の特攻服

 夜の国道をバイクで走り、僕たちは隣町の服屋にきました。

 30台ほどのバイクと50人ほどの人々と共に。

「おお!金角じゃないか!」

 店の店長が僕に言いました。

「こんちわ」

 ちなみにこの店に来たのは今回で2回目です。

「今日はどうした?」

「えーっと、ですね。この子の服を買いにきました」

 店長は僕の隣に居る白い女学生を見ました。

「おい、金角の彼女?ええ?へへへへへ」

「いや、そうではないのですが」

「ちょうどいいところに来たよ、お嬢さん。ちょっとまってな」

 店長は店の奥に行きました。

 白い女学生は僕の隣に立って店を見回していました。

「ほら、これこれ。今日出来上がったばっかりなんだよ」

 店長が手にしていたのは銀の特攻服でした。

「金角が男物だったから、銀角は女物にしたんだけど、いやー、まさかね。金角が彼女連れてくるとはね。いやー、ビックリしたよ?ねえ?ささ、ちょっと着てみなさい」

 白い女学生は制服の上から銀の特攻服を羽織りました。

 銀の特攻服はギンギラギンで、そして背中に大きく銀角と書いてありました。

「いいね。じゃ、ちょっと写真を撮るから2人で並んで」

 僕と白い女学生は顔を見合わせました。

「じゃ、ちょっと背中の字が見えるように立ってみてよ」

 店長は数枚の写真を撮りました。

「よし、これはもう君に売った!」

「えーと店長、これの値段は」

「おお、金角と銀角のセットで売れたからな。5万で良いよ、5万」

「いやー、5万ですか」

「いいよ。一割払ってくれたらトイチでまたさ」

「いやー、それはちょっと」

 僕は白い女学生を見ました。

「いいです、これください」

 白い女学生は言いました。

 そして何処から取り出したのか5万円を店長に渡しました。

「おおお?毎度アリ」

 店長も僕もその5万円にビックリしました。

「それじゃあ、ツーリングにいきましょう。金さん」

「えーっと、金さんってのは」

「ふふふ、私のことは銀とよんでください」

 白い女学生は僕を見てニタリと笑いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る