第14話 土曜の夜

 僕と白い女学生は一緒に僕の家に行って宿題をしました。

 白い女学生はすぐに宿題を終えると、僕の本棚から漫画を取り出して読み始めました。

 僕の宿題は2週間学校を休んでいたこともあり、一気に終わる量ではありませんでした。

 1時間ほどしてから僕は休憩のためにゴロンと後ろに寝転びました。


「起きてください」

「ん?」

「そろそろバイトに行く時間ですよ」

「え?今何時?」

 僕は時計を見ました。

「あれ?眠っちゃったか」

 僕が起き上がると、テーブルの上にお菓子とお茶が置いてありました。

「これはお母様が持ってきてくれたのです」

「母さんが?」

「はい、美味しかったですよ」

 僕は白い女学生を見ました。

 テーブルには5冊の漫画が積まれていました。

「さあ、したくをしてください。バイトにいきましょう」

「ああ、そうだな」

 僕はバッグに特攻服をつめました。

「あれ?それは?」

「えーと、これはバイトの後で友達と遊びに行く時に着る服」

「何処に行くのですか」

「えーと、どこかにバイクで行くみたいだけど」

「そうですか」

 僕と白い女学生はバイトに行きました。


 バイトが終わりました。

「なんか外が凄い事になっているぞ」

 社員さんが言いました。

「ああ、やっぱり」

 僕はまいりました。

 駐車場を見ると30台ほどのバイクがズラリと並んでいました。

 そして50人ほどの特攻服を着た人々が居ました。

「あの、あれは僕を迎えに来た友達なんです」

「友達?」

「ほら、静かでしょう?迷惑はかけませんから」

「確かに、エンジン音もしないで突然現れたよ」

「驚かしてすみません」

「いや、まあ、もう店も閉じたしね。なに、これからどこか行くの?」

「はい、ツーリングに」

「ツーリングねー」

 社員さんは駐車場の方を見ました。


 僕は更衣室で金の特攻服に着替えました。

 背中には大きく金角と書いてあります。

 買ってから初めて袖を通したのですが、相変わらずキンキラ金でした。


 僕はレストランを出ました。

 そこにクラスメイトが待っていました。

「よー、お疲れ」

「ああ、また凄い多いね、バイク」

「ハハハ、多いほうが面白いだろう」

「まあ、ははは・・・」

「いやー、しかしその服!凄いね」

「まあ・・・」

「派手だね」

 そんな会話をして居ると、白い女学生が僕の後ろに立っていました。


「私も連れて行ってください」

 白い女学生が言いました。

「いやー、どうかな。ほら、君、制服のままだしさ」

「着替えます」

「着替えるって、着替えはあるの?」

「どこかで買います」

 僕と女学生が話していると。

「いいよ、おいでよ」

 とクラスメイトが言いました。

「ほら、この前行った服屋、あそこならまだ開いてるから、今からその子のためにそこに行こうよ」

「ええ?」

「土曜の夜はオールナイトで開いてるからさ」

「ええ?けどさ・・・」

「そんなんですか?お願いします。私も連れて行ってください」

「良いよ、良いよ。ほら、そこの奴のバイクの後ろに乗りなよ」

 白い女学生はさっさとバイクの後ろに乗ってしまいました。

「良いのか?本当に」

 僕はクラスメイトに言いました。

「良いって。仲間が多いほうが面白いだろ。さあ、お前も乗れよ」


 僕はクラスメイトのバイクの後ろに乗りました。

 そして僕たちは夜の道を隣町の服屋に向けて走り始めました。

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