第10話 明日と明後日の予定
「お兄ちゃん」
「ん?何?」
放課後のバイトが終わり、僕が遅い晩飯を食べていると、妹が話しかけてきました。
「あのね、明日の夜なんだけどさ。友達の子の天文部の観測があるのね。それに私も誘われているんだけど、お兄ちゃんも一緒に行ってくれないかな?」
「わるい。駄目だ。バイトがある」
「大丈夫よ。観測は夜遅くから始まるから」
「ええ?けど、そんなに夜遅くだと、中学生は駄目だろう?」
「それは大丈夫よ。顧問の先生も来るから」
「そうなのか?まあ、じゃ、バイトが終わってからだったら良いよ。まあ明日は金曜日だし」
「ありがとう、お兄ちゃん。じゃ、バイトが終わってからお父さんに車でお兄ちゃんのバイト先まで送ってもらうからね」
「ああ、わかった」
風呂上りの父が台所に入ってきました。
「おい、バイトは良いが、ちゃんと勉強もしろよ」
「はい、わかってます、お父さん」
翌朝の学校。
僕は自分の席についてから、隣の女の子に話しかけました。
「あのレストランのバイト、始めたよ」
「そう、よかったわね」
「ああ」
「なによ?」
「いや、今回は何か裏とかは無いよね?」
「無いわ」
「そうか」
「何よ?」
キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴りました。
昼休み。
僕が学食でカツ丼を食べていると学友が僕に声をかけました。
「おう、土曜日にまたツーリングに行こうぜ」
「いや、土曜日はちょっと駄目だ」
「何言ってんだよ。土曜の夜だぜ。あけとけよ」
「夜か?まあ、夜ならバイトが終わってからなら」
「お?バイトしているのか?」
「ほら、この前の支払いがあるからさ」
僕にはこの前借金して買った特攻服の支払いがあるのです。
「ああ、あれか。アレは買いだったからな。それじゃあ、仕方が無い。お前のバイトが終わるまで待っているよ」
「おお?いいのか?」
「じゃ、迎えに行くから、バッチリときめておけよ」
そして放課後がやってきました。
僕が教室を出ると白い女学生が立っていました。
「一緒にバイトにいきましょう」
「はあ」
これは僕の予想通りの展開でした。
昨日僕と一緒にレストランのバイトの面接に行った白い女学生は、僕と一緒にバイトをすることになったのでした。
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