第7話 暗い廊下の白い人影

 遅くなってしまった。

 部活にも入っていない僕は、生徒会と学級委員長の会議が終わった後でも居残りで作業を手伝っていました。

 最後に残ったのは僕と生徒会長だけでした。

「おつかれさまー」

「しつれいします」

 僕は廊下に出ました。電気も付いていない廊下は薄暗くなっていました。

 その廊下を歩き出して僕は気がつきました。

 廊下の向こうに白い人影が浮き上がって見えるのです。

 その白い人影はこちらの方に歩いてくるのでした。

 僕は歩き続けました。

 白い人影もこちらに歩いてきました。

 白い人影は学校の制服を着ていました。

 そして長い黒髪の女学生でした。

 少しホッとしました。

 僕とその女学生か通り過ぎるとき、その女学生がニコっと僕に笑いました。

 ぞぞぞぞぞぞぞぞ。

 僕の全身に鳥肌が立ちました。

 その女生徒の顔と腕と足は恐ろしいほどに白かったのですが、その白い肌に、キュッと斜めにつり上がった赤い唇が浮かび上がって見えたのでした。

 僕は足を速めました。

 階段を下りているときでした。

 また、階段の下に白い人影か見えました。

 その白い人影が今度は階段を上ってきました。

 僕はチラリとその白い人影を見ながら階段を下りました。

 ぞぞぞぞぞぞぞぞ。

 それは先ほど廊下ですれ違ったあの女学生だったのです。

 僕は小走りで下駄箱に行きました。

 靴を履き替えているときでした。

「ねえ」

「うわあああああ」

「わああああああ」

「って、生徒会長じゃないですか。やめてください。驚かすのは」

「こっちが驚いたわよ」

「えっと、すみません」

「ねえ、君の家はどっちの方かしら」

「えっと、あっちの方です」

「そう、もう暗いし、一緒に途中まで帰りましょう」

「はあ、そうですね。いいですよ」

 僕は少しウキウキとしました。実は生徒会長はとても美人なのです。

「あら?」

 生徒会長が僕の後ろを見て話しかけました。

「どうしたの?」

「?」

 僕が後ろに振り向くと、あの黒髪の肌の異様に白い女学生が立っていました。

「・・・!」

 僕は驚き過ぎて声も出ませんでした。

「あなたも一緒に帰りたいの?」

 生徒会長がそう聞くと、白い女学生はコクリとうなづきました。

「そう、じゃ、3人で帰りましょう」

 そうして、僕と生徒会長と白い女学生は一緒に学校を出ました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る