第5話 高額なバイト
「なに?バイト探しているの?」
学校の教室の隣の席の女の子が僕にききました。
僕はアルバイト求人の雑誌を見ていたのです。
「ああ、ちょっと金が要るようになってさ」
「ふーん。あ、そうだ、良いバイト紹介してあげようか?」
「へー、どんなの?」
「私の機関の人体実験のちょっとした・・・」
「いや、いい」
僕は彼女の言葉を遮って答えました。
女の子の悲しげな沈黙が流れました。
「そう、ごめんなさい」
僕は凄く払いの良いバイトの求人広告を見つけたんです。
一日3万円貰えるんです。
昼休みに電話してみました。
「あの~、バイトの求人広告見たんですけど」
「あ、そうですか、ありがとうございます。本社は面接無しですぐ採用としておりますので、今からでも働きに来てください。働きたい者は拒まずというのがうちの社長のモットウでございます」
「ええ?面接無しですか?じゃ、学校が終わってからいきます」
「はい、よろしくおねがいします」
学校が終わってから、僕は求人していた会社に行きました。
古い大きな病院の様なビルでした。
そのビルに入ったのですが、そこからの記憶は次に目覚めるまでまったくありません。
気がつくと僕は横になっていて、目の前に大きなライトが光っていました。
手足を動かそうとしましたが、僕は台の上に拘束されていました。
頭も拘束されていて動かせません。
声を出そうとしましたが、声は出せませんでした。
横目で見ると、医者のような人達が沢山いました。
バーンと音がしました。
「そこまでだ!」
「誰だ!」
「GOレンジャー、レッド!」
ガシーン!
「GOレンジャー、ピンク!」
ガシーン!
「GOレンジャー、オレンジ!」
ガシーン!
「GOレンジャー、グレイ!」
ガシーン!
「貴様等か、どうしてここが!ええい、出会え出会え!」
部屋の中にゾロゾロと大量に人が入って来た音がしました。
「かかれー!」
目を動かして左右を見ると大量に黒い全身スーツの人達が居ました。
そして狭い部屋の中で双方戦いだしたんです。
「キエー!」
と言って灰色の何かが僕の目の前を飛び越えました。
あれ?いまの。なにか人の形が変だったような?
すぐに僕の反対の方から黒い人が僕の上に飛んできました。
「ぐ」
お腹に黒い人が落ちて、僕は息ができなくなり、そのまま意識を失ってしまった。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
妹が僕を揺すっていました。
「お兄ちゃん、どうしたの?ねえ!」
「え?っと?」
僕は家の前に立っていました。
「何でこんなところで突っ立っているのよ?」
「いや?どこ?なに?どうなっているの?」
「お兄ちゃん、さっきからここに立ってボーっとして、声をかけても何も反応しないし、どうしたのよ?」
「いや、なんかグレイの人が飛んで、その後に僕の上に人が落ちてきて」
「グレイ・・・。また?」
妹は力無く地面に座り込んでしまった。
あれ?
僕は気がつきました。
僕は右手に一万円札を握り締めていたんです。
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