第3話 暴走族が来た

 僕は学校の教室に入り、自分の席に行ったのです。

 椅子をズズズと引くと、隣の席に居た女の子が驚いた顔をしました。

「生きてたの?」

「ってことは、やっぱり俺はショッカーに八つ裂きにされたってことか?」

「う、ううううう」

 女の子は泣き始めました。

「おい?」

「ううふ、うふふふふ」

 泣いていた女の子が今度は笑い出しました。

「わははははははは、ごめんごめん。生きていてくれて良かったわ、きゃはははは」

「おい?」

「死んでしまったと思って、落ち込んでたのよ。ああ、なんか損した」

 キーンコーンカーンと朝の予鈴が鳴りました。


「ねえ、どうやってあの状況から生きていられたのかしら?」

 と、隣の席の女の子は休み時間にそっぽを向きながら僕に聞いたんです。

「さー。僕には2週間分の記憶が無いんだ」

 僕も女の子の方は見ないで答えました。

「ふーん」

「あの後、どうなったの?」

「あの後は、怪人と戦って勝ったわよ」

「へー」

「ごめんなさい」

「まあ、ねえ」


 放課後に僕はクラスメイトの男子から声をかけられたんです。

 バイクで隣の町にみんなで行くけど、僕も来ないかと誘ってくれました。

 入学2日目から2週間も学校を休んでいた僕はその誘いに乗りました。

 友達を作るチャンスです。

「じゃ、君の家まで迎えに行くから、家で待っていてよ」 

 と、僕は言われました。


 ピンポーンと呼び鈴が鳴って母が「ハーイ」と言って玄関に出ました。

 僕も「ああ、クラスメイトだな」と思って2階の僕の部屋の窓から外を見ました。

 すると家の前の道にはズラーッと30台ほどのバイクが止っていたんです。

「お兄ちゃん、なんかお友達が来ているけど・・・」

 外を眺めていた僕の背後から母の声がしました。

「ああ、ちょっとバイクで隣町まで行ってくる」

「ええ?大丈夫なの?あれって暴走族じゃ・・・」

「いやー、わかんない。どうだろう」


 膝がガクガク震える足で僕は家の外に出ていきました。

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