産まれてから小学校卒業まで

時は昭和



難産で、帝王切開は避けられず

母親の腹をきり、子宮をズルッと出し、俺は生まれた。

母親は下半身麻酔にて手術したので、その光景を目撃し、ズルッとした感覚もあったそうだ。


術後、痛みに苦しみながら俺を育てたのだろか。


お腹にいる間は女の子と思っていたようで、ピンク色の肌着や、かわいいものを用意していたと聞く。


勿体無いからそれをそのまま使ってたとも聞いた。


そのせいかしらんが、かわいいものは昔から今も好き。

顔面はこわがられるぐらいのイカツイ顔してるけど。


名前は【タケシ】

名前の由来は親父が車で走っているときにみかけたトラックの会社名から取ったらしい…。


トラックの荷台の扉にでかでかと書かれたロゴをみて


「あの武って字かっこえぇな!」


○◇武運送会社

だからタケシ。


そんなやつおる?どんな親やねん。

すでにまともな大人では無いことは、ここで気づいてもらえたと思う。


でもまぁもう1つ理由があるらしい。後付けっぽすぎるけど。

武士みたいにって事でタケシ。


俺には6つ年の離れた兄貴が居る。


兄貴が産まれて、一度離婚をし、もう一度再婚して俺ができたらしい。


兄貴とおかんと親父が面倒を観てくれ育っていった。



産んでくれた母親だが、統合失調症のためキライ。

俺らを完全にほって大家族をもったちゃらんぽらんな父親。

二人とも大キライだ。


自分も家族をもった今でさえ大キライだ。



【離婚】


俺がまだ幼稚園にもない、かなり幼い時のことだったと思う。


場面や視界に写っていたものは全て鮮明に覚えている。


ある夜の日だった。


俺が顔だけだして潜り込んでいるこたつの上にはビールの缶が散乱していて


母親と父親が口喧嘩していた。

どなりあっていて、俺は凄くこわかった。


テレビを見ていたが頭ではこわいこわいと考えていて、テレビどころではなかった。


母親はそんな俺を抱き上げ、別室にいる兄を呼び出し

ボロボロの軽四に3人で乗り込んで、夜の道路をただひたすらにやみくもに走った。


ある程度、時間をやり過ごした後


家にもどってきたが、父親はいなかった。


その時から、アパートなどを転々としてた覚えがある。



【幼稚園】

俺は幼稚園に入った。

この頃から 【キッツン】と言うあだ名で呼ばれ続ける。

親子代々受け継がれているあだ名で、俺がみんなにキッツンて呼んでー!と言い回ってた。


対人恐怖症と言うかただの緊張しぃなのかもしれんが、よくお腹を壊していた。

いろんな薬使ってきたせいか…今もまだ腹をよく壊す。


おかんが言うに昔から女の子とよく遊ぶ少年やった。いじられキャラやったらしい。



たまに幼稚園サボろうとしたけど友達に見つかって失敗したのを覚えてる。



【小学生】


小学生になった俺は絵を描くのが大好きだった。

母親が姉のクリーニング屋で仕事させてもらってるとき

倉庫で待たされていて、絵ばっかりかいてた。

倉庫の壁に絵を貼り付けまくってたっけ。


当時爆発的に流行っていたドラゴンボールを転写しまくって、書き方覚えるの必死だった。


その絵をクラスの同級生にみられて


『すごーい!めっちゃ上手やなぁ!』


と言われて、いろいろと友達が増えていった。


時間は飛び…


好きな女の子ができて、バレンタインデーもでっかい手作りチョコもらって

いい雰囲気やったのに、転校していっちゃうパターンが2回ぐらいあった……。


自分で言うのもなんだけど小学生の頃は結構モテてた。

チョコも沢山いただいたし、誕生日会も必ず呼ばれたし、女の子といっぱい遊んだ。



【阪神淡路大震災】


俺はいつもどうり寝てた。

夜中…すべてが静まり返ってた


突然、もの凄い音…もの凄い揺れ…俺は目を覚ます。


地震だった。


周りの物は落ちて不快な音をたてる。


なんや!?なんや!?と思っていたら

突然、俺の目に映っている物が全て流れる。

おかんが俺を猫掴みし、もの凄い速さで家の廊下を走っていた。


そして、兄貴の部屋へ連れ込まれ、兄貴の寝てるベットに投げられた。


兄貴は爆睡しながら俺を布団と勘違いして抱きついてくる。

おいおいと思いながら時間は過ぎていった。



辺りが明るくなってきたとき

俺らは荒れた部屋の中、学校に行く準備をさせられた。

俺は駄々をこねたが学校へ行った。


これはおかんが家でおるより安全な学校で俺らをおらすためと

実家や親戚の家へ安否の確認と散らかった部屋を掃除をしにいくたやったらしい。



【当たり所悪かったら……】



おかんと二人で車で出掛けることになった。


俺はジャイアントコーンというアイスも持たせてもらい機嫌よく助手席に乗っていた。


発進して、ものの数分後のこと。

「携帯って危ないでな~」と脇見した瞬間にガシャンドカラシャン!!!

と騒音と共に体が激しく揺られる。


どうやらブロック塀に縦から突っ込んだらしい。

エンジンルームがおかんと俺を分けるように真っ二つに凹んでいた。


理解が追い付かず、車から降りると見覚えのある場所。


同級生の家の玄関前にある駐車場だった。


人がどんどん集まってくる。

「みせもんちゃうぞ」とおかん。

いや、警察よんで!




時は過ぎ、同級生の家の前を通ると

手動シャッターつき駐車場は、電動シャッターつき駐車場になり

殺風景だったブロック塀はお洒落になり

表の門扉もお高いであろう門扉にかわっていて


保険やからっておいおいと思った。



ちなみにこれで軽四は廃車になり、うちから車は一生なくなった。



【兄貴】


父親の所に引き取られたり、母親の所に引き取られたり。

あげくにいじめられてしまい。

みかねた母親に空手を習わされて黒帯までいった兄はグレてしまい、家にはほとんどいなかった。

うちにあった軽四は勝手に乗っていくし、手に終えんかった。



その日、はじめて自分の単車を手にいれた兄が帰ってこなかった。


母親がすごく心配して、二人で暗い町内を探した。お地蔵さんにお願いもした。

まぁ、ケロッと帰ってきたのだが。



別のある日、兄は暴走族の総長になっていた。

すっかり地元では有名になってしまっていて、あちらこちらで声をかけられて、お兄さんたちによく可愛がってもらっていた。


その日も、家のアパートの前にたまっていて、なぜか単車のタンクに座らせられて、加速を体感させらた。

怖がっている俺をみてみんなケラケラ笑ってた。


それの影響か、絶叫系と言われるものは30になった今も全て苦手。


遊園地なんか彼女と行ったら楽しめなくて若い頃は苦労した。



【普通の家庭に憧れた】


たぶん働きすぎだったとおもう。

シングルマザーの母親は、仕事詰めすぎで基本的に家にいなく、俺は鍵っ子だった。


学校から帰っても誰もいなく、昔に3人で造ったかき氷の残りのシロップを水道水で薄めてジュース擬きにして飲んだりしていた。



日に日におかんが壊れていくのを見てきた。

あんなに優しくて明るく、新聞配達だろうが水商売だろうが、朝から翌日の朝まで仕事をバリバリとこなすおかんは、人への頼りかたも解らず情緒不安定になっていき、挙げ句にリュウマチになり、車椅子生活になっていた。


横たわっている母親が、寒そうにしていると俺は毛布を隙間なく母親体に巻き付けてあげたりしていた。 




でも、ついにおかんが病気で入院した。


シングルマザーのうちには兄貴しかいなく、俺ら兄弟は母親の姉の家で面倒見てもらうことになった。

ラブマシーンのモー娘。と、すべてへの19が全盛期だったころなのを覚えてる。


俺の兄貴と、この家の息子のマコトはグレてしまっていて基本的に家にいなかった。

二人で単車乗り回してた写真が残ってる。


俺は学校いって、病院いって、帰ってくるを毎日繰り返していた。


マコトの部屋で基本寝ていた俺は、マコトの隠してあるエロ本を見つけて読んでいたところ娘のマミに見つかった事があった。

次の日からエロ本はなくなっていた。


お風呂入って、うんこ漏らしたり

こつこつとゲームボーイでメダロットしていたのに、学校から帰ってきたらセーブデータをおっちゃんに手違いで消されていたり。


マコトとサルゲッチュやテトリスをワーキャーいいながら楽しんだり。


家族皆で楽しくご飯食べたり。



一軒家、家族四人、犬二匹、車一代。

はたからみりゃ普通の家庭かもしらん。


でもな。俺からしたら羨ましかった。

生まれるのがこんな家だったらよかったのにな。


【チンピラのおっさん】



「この人がお前のお父さんやで」


急におかんから言われる。


俺の親父?らしき人物は

パンチパーマに 18金のネックレスをしていて

舎弟らしき人を連れていた。


これが俺の親父なんか…そう思いながら何週間か共に過ごす。



昼間は舎弟らしき人とゲームしたり、夜は親父らしき人と飯食って勉強教えてもらったり…



でも最終的には

俺の親父じゃなかったことが発覚した。


発覚したと同時に親父らしき人は居なくなっていた。

なんじゃそれ…。



となっていたがあれは紛れもなく親父やった。

昔の写真が出てきたので見たら、まったくそのままのカッコのおっさんと笑顔で写ってる写真が複数枚あった。



【林間学校】



楽しみにしてた林間学校が


もうすぐそこまで迫っていた。



その当時、1番仲のよかった男友達が居た。

そいつと俺はお笑いが好きで


林間学校でそいつと漫才をすることになる。


林間学校までの短い期間にネタを考える。


五分のネタをするため、原稿用紙にビッシリネタを書いては消して……練習して…



そうこうしてる間に林間学校の日がきた。

林間学校で宿泊するとこについた俺ら。


カレー作ったりなんやかんやしてた。


風呂はドキドキした。


昔から俺は風呂上がりの女の子が好きでたまらんから。



ほんま、なんやかんやしてる内に夜が来た。

時間忘れるぐらい楽しかったってことかな。



オタケはマイクを片手に準備をする。

俺はマイクとハリセンを持って準備。


ついに漫才が始まる。


「はーい!どうもどーもー!2人合わせてオタキツソースでーす!」

から始まる。



ちなみにコンビ名は

【オタキツソース】


オタフクソースを真似て


ツレのあだ名が【オタケ】で

俺が【キッツン】やから2人あわせて


【オタキツソース】


なんて面白味のあるコンビ名か。



キツ「ちょー聞いてよ!」

オタ「なんよ?」

キツ「俺、キリンの物真似できんねんって!!」

オタ「え!?マジで?やってみてよ!」


キツ「キリーン…」


…間…



「アハハハハ!!」


これがなぜか大爆笑。



五分間、絶えず笑かし


最後に

「ありがとうございました~!」

そう言って俺らは めっちゃ遠くまで走る。



そしてクラス全員部屋に戻り


長い長い夜が始まった。

やっぱり、抜け出す奴、夜更かしする奴、いろんな奴が出てくる。


当然、男女分かれてるから男が女の子の部屋にこっそりいったり。


俺らの班からも抜け出す奴が一人。


抜け出してから全然帰って来ぇへんから、俺らも抜け出してそいつ探すか!と意気投合し、懐中電灯片手に部屋を抜け出す。



階段上がって女の子の部屋にいくと抜け出した奴は熱だして倒れてた。


残念な奴だ…



俺らは先生に話して部屋に戻り寝ることにした。


俺は液晶テレビを持ってきてたからテレビ観ながら寝た。



【カトウとの出会い。これが人生を左右し続ける】


いじめられたり、どつき合いの喧嘩したりは

一切無く、無事高学年になった俺。


こう徐々に周りも俺も女子、男子として完全に意識し始める。


だんじり祭りが近づいていた日。

いつも、六時以降に家を抜け出し、青年団の練習を見に行ってた。

まぁ見に行くのは口実でツレ等と遊んでた。


岸和田にすみながらも祭りに興味がなかったからだ。


今日も遊びに向かった俺。

いつものようにだんじり小屋の前の駐車場で遊んでた俺たち。


たまたま目をやった場所で、泣いてる女の子がいた。

同じ学年の子だった。

タイプでも何でもなかったが、ほっておけなかった俺は話を聞く。

何の話を聞いたか覚えてないが、いつしか泣き顔が笑顔に変わってたのは覚えてる。


次の日


いつものように学校に行く俺。


休憩時間、昔から仲の良い女の子に呼び出される。

なんやろうと思いながらも階段付近で話す俺たち。


ウエモトから思いも寄らぬ発言が飛ぶ。


「スミトモがきっつんの事が好きなんやって」


スミトモとは昨日泣いていた女の子だ。


はぁ?と思った。


またまたウエモトが喋り出す。

「だから付き合って欲しいんやってさ。」



今考えれば不思議でしゃーないが


タイプでも無いのになぜか俺は付き合うことにした。


たまにスミトモとツレ等と遊んだり。そんな感じが続いていた。



月日が流れ。とある放課後。


俺は前から気になってた女の子【カトウ】とトイレの掃除をしていた。


なかなか仲の良い俺たち。

ますます好きと言う気持ちが おっきくなっていくが、俺はスミトモと付き合ってる。

なぜ付き合ったのか…

この時、初めて恋や恋愛に苦しめられた。

自業自得だが…。



しかもスミトモに言われる。

「カトウさんと喋らんとってほしい。」


スミトモはヤキモチを焼いてくれていた。



仕方ない


そう思った俺は、わざとカトウを避け続けた…。

話しかけられても、掃除が一緒でも…。

卒業間近…


めっきりスミトモとは遊ばんなった。

よく言う自然消滅ってやつだった。


カトウとも喋らんなったまんま、小学生生活が終わりに向かっていた。



卒業式



恒例の、舞台に1人ずつ立って目標などを言うのが あった。


緊張しいの俺はカミまくり、顔赤くしてたの覚えてる。


あれは恥ずかしかったな…。



こうして、初恋愛も小学生生活も終わっていった。




おわり


中学生編へつづく

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