第21話
それは旅人と少年「ミハイ」が鉄のようにかたい契りを交わした夜の後の朝の事である。
「まさか『奴』が少年の別人格だったとは・・・・・・」
旅人から話を聞いたアルバンは驚きを隠そうとする素振りを全く見せず、素直な表情で新しい事実を出迎えた。
「すまないなぁ。お前さんを疑っちまって・・・・・・」
「いえいえとんでもない。こうした私の説を信じてくれるだけでもありがたい。」
「しかしこれは困りもんだなぁ。これをお上に報告して対応策を練ってもらわんとなぁ。で、その少年の名前は何ていうんだ?」
「ミハイです。」
「ミハイ?フルネームは?」
「『ミハイ』でフルネームだそうだ。」
「ミハイかぁ・・・・・・ここらでは聞いたことねえ名前だな・・・・・・そりゃ解決に一層手間がかかるわな。大変そうで頭が上がらんわぁ。」
そう称賛の言葉を口にしながら酒場で作業をしていたアルバンはふとあることを口にした。
「あっ、そういやぁ昔聞いた噂話でそれによく似た話を聞いたことがあるべ。事件の解決の道筋の参考になるかどうかにゃあ分からんが。」
「ほう。それはいったい何かな?」
「『ヤコブの呪い』という噂だが聞いたこたぁあるか?」
アルバンがその言葉を口にしたとたんに旅人の顔は硬直した。それはまるで懺悔をする景教徒のようであり、異様であった。
「お?どうした何か思い当たるものでもあるのか?」
そうアルバンが聞くと旅人はいつもの顔に戻りこう返した。
「いえいえ何でもない。その噂話について教えてくれませんかね?」
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