第7話
扉の奥には、大きくて古臭い屋敷があった。
アンダインの情報によると、どうやら時の精霊は一匹しかいないらしい。
恐らく、時の精霊はこの屋敷にいるのだろう。
「お邪魔します…」
俺が扉を開けると、ギィィィイイという音がなった。
中は薄暗く、部屋の隅には大きな蜘蛛の巣が張り巡らされていた。
そして、銀色に光る何かがそこら中に漂っている。
なんか、薄気味悪いな...と思いながら周りを見ていると、声が聞こえた。
「ようこそ、ボクの屋敷へ」
誰だ!!と思い辺りを見回すが、誰も居ない。
「おかしいな...」
「ここだ!ボクはここだ!」
どうやら、下の方に誰か居るようだが、敢えて気が付かないフリをする。
「ん?おかしいなー、誰かいる気がしたんだけどなー(棒)」
「こ、このぉ!!!ボクを馬鹿にするなぁ!」
殴ってきた。けど、全然痛くない。
「お嬢ちゃん、こんな所にいてはいけないよ。早くおうちに帰りなさい」
「子供扱いするなー!!!」
ポカポカ、ポカポカ
「ごめんごめん。冗談だからな」
「まったくもぅ...もう二度とするなよ!」
因みに、俺と話しているのは幼女である。
整っていない、ボサボサの銀髪の頭に、紫の瞳。
身長は140くらいだろうか。
「所で、君が時の精霊?」
「そうだよ」
「なんか...あの...その...ちっちゃくないですか?
アンダインさんとか結構大人な感じだった...」
俺は、真っ先に思ったことを聞いた。
「まあ、ちょっと諸事情でな...まあ、その事も含めボクの部屋で話そうか。着いてきて」
取り敢えず着いていくことにした。
時の精霊の部屋は、薄暗く、棚には本、机にも本、床にも本と本だらけだった。
「あの...古本屋さんでも経営してらっしゃるのでしょうか…?」
「しとらんわい!!!」
時の精霊は咳払いをし、
「まあ、そこに座って」
と言った。
俺は、時の精霊の指さしたソファーに座る。
「なんか、やけにフレンドリーだね。もっと、警戒したりしなくていいの?」
「ほかの精霊はすべきかもしれないけど、ボクの場合は君が来る事を知っていたからね。君の過去も全て知っている。なんせ時の精霊だからね」
「なんでもか?」
「うん。何でもだよ」
「俺の名前は?」
「ケイ・イズミ」
「出身地は?」
「ニホンのトウキョウだ」
「好きな食べ物は?」
「君の母親の作るニクジャガとやらだね。何かは知らないけど」
「俺の初体験は?」
「まだだ」
「俺のスマホのパスワードは?」
「124578」
全て即答である。
どうやら本当のようである。
「どうやら本当のようだな」
「最初からそう言っているだろう?」
「所で、自己紹介がまだだったね。ボクはスピリ。君もご存知の通り時を司る精霊だよ。昔は時の精霊も沢山いたんだけどね…皆訳あって居なくなっちゃった。」
「わー時の妖精なんだーシラナカッタナー、スゴイスゴーイ(棒)」
「き、君、さっきにボクに聞いてきていただろうだろう?!」
「(゚⊿゚)シラネ」
「むーーーー!!!」
なんか、精霊なのに、契約しないと元の世界に帰れないのに、イジるのが楽しくなってしまう。
「それで、なんでスピリは小さいんだ?」
「いや、そのね...前に契約をしていた人が凄い量の力を使ってしまってね、この体になってしまったんだよ」
「(´-ω-`)ナルホドナ」
「ところで、今スピリってどれ位力を使えるんだ?」
「それが、その...全く使えないんだよね…」
「まじかよ」
「ごめんね?」
スピリが申し訳なさそうに言ってくる。
「いや、スピリが謝る必要は無いよ(キリッ」
前契約してた奴まじ恨むからなぁ!!?
魔法使ってみたかったのに(泣)
チート無双したかったのに(泣)
まあ、悔やんでも仕方が無い。
取り敢えず、契約しないと。
「それじゃあ、契約してもらってもいいか?」
「うん、良いよ。君はいい人そうだしね」
一体スピリは俺のどこを、いい人そうって感じたのだろうか。
俺はスピリの事をイジってしかいないのに。
まさか...こいつ...えむなのか!?
「それじゃあ、僕の手の上に君の手を置いて」
「おう」
俺はスピリの手の上に右手を置いた。
「いくよ」
「おけ」
すると、右手が光り、紋章が現れたが、その後スッと消えていった。
「契約成功だよ」
「ありがと。これから宜しくな!」
「うん。宜しくね」
こうして俺は、ボクっ娘でロリ属性の精霊と契約を交わしたのだった。
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