第3話
俺が食事を終えると、老人が話し始めた。
「取り敢えず自己紹介をしようか。私はベイスター・ウェナーという。この村の長だ」
「私はレイ・フォルゲンだ。レイと呼んでくれ」
「俺はケイです。ケイ・イズミ」
そう答えると、ベイスターは質問を始めた。
「お前は何処から来たんだ?」
(異世界から来ました!なんて言ったら怪しまれるだろうし、ここは...)
「それが...覚えていないんです。記憶を無くしてしまったみたいで...」
「そうか...それなら、ここら辺の事を話してやろう。何か思い出すかもしれん」
「ありがとうございます!」
「とはいえ、もう遅い。また明日話すとしよう。その間は世話係兼監視役としてレイをつけておくからな」
そう言うと、老人は部屋を出ていった。
(うをおおおおおおお!まじか!可愛い女の子と一緒に部屋に2人っきり!)
「あ...あの...レイさんでしたっけ…」
「レイで構わん」
「じゃ、じゃあ...レイ。あ、あの...よろしく」
「おう」
「「.................」」
(うわ!何これめっちゃ気まずいぞ、おい)
「あ、あのレイは何処に寝るの?」
「床だが?」
平然と答えるレイだが、男として女の子を下に寝かせる訳にはいかない。
「いや、レイが上に寝ていいよ!」
「しかし、ケイは怪我人だ。それこそ下に寝かせる訳にはいかない。」
「いや大丈夫だから!」
そう言って俺はベットをあける。
「そ。そうか...じゃあ、お言葉に甘えて...」
こうして、レイが上に、俺が下に寝ることになった。
流石に、同じベッドでは寝ない。
別に期待してた訳じゃないしぃ!?
別に...別に...
本当は一緒に寝たかった(ボソッ
「じゃあ、おやすみ」
「おう。おやすみ」
こうして、この世界に来て1日目が終わった。
夜が明ける。
俺は思っていたより早く起きた。
なんか、旅行先とかで寝るといつもより早く起きちゃう!ってことあるよね。
(そういえば、おれの服は...)
そう思い、辺りを見回すと、机の上にたたまれてあった。しかも、ゴブリンにやられた時についた汚れも無く。
(誰だか分からないけど、ありがとうございます!)
というか、何故見ず知らずの人にここまでしてくれるのだろうか。いくら村の掟とはいえ...
何か裏で企みがあるのかもしれない。
一応、警戒もしておこう。
お腹空いたなぁ...
とはいえ、昨日レイにこの部屋から出るな、と言われているからむやみに部屋から出る訳にはいかない。
しばらくして、レイが部屋に戻ってきた。
「おはよう、ケイ」
「ああ、おはよう」
「調子はどうだ?」
「レイのお陰で助かったよ。ありがとう」
「当然の事をしたまでだ。礼には及ばん」
レイさん優しスギィ!!
「朝食の時間だ。行こう」
「うん」
二人は部屋を後にした。
今はレイの後ろ追って歩くような形だが、後ろから見るレイもとても綺麗だ。
無言のままだと、気不味いので俺はレイに話しかける。
「レイはどうしてこんなにも俺に優しくしてくれるんだ?」
「昔、小さい頃にモンスターに襲われてしまってな。その時に、ある人に助けてもらったのだ。私はお礼を、と思ったのだが、気が付いたらいなくなっていてな。そのお方の様になりたいと思い、人助けをしているのだ」
「なるほど...でも、助けた人が悪い人だったらどうするんだ?」
「斬る」
「(・∀・)こ、こわー!」
なんの躊躇いもなく彼女が放った言葉は、なんというか威圧感みたいなのがあった。
「私はこう見えても、世界一とはいかなくとも国で一番くらいの実力はある」
「へ、へぇ...」
レイさんかっけぇ...
どうやら俺は凄いお方に拾われてしまったらしい。
昨日の夜、レイさんに手を出していたら大変な事になっていただろう。
そうこうしているうちに、広間につく。
なんか、凄い長い机がある。
その机の上には豪勢な料理が並んでいた。
「座っていいぞ」
「お、おう」
規模の大きさに呑まれていた俺に、レイが言う。
「あ、あの、レイさん。机でかくない?」
「普段は家族とメイドがいるのだが、今日はいなくてな」
なるほど...
すると、もう一人女の人が来た。
レイが言うに、レイのメイドさんらしい。
「カレンです」
「カレンも座れ」
「ありがとうございます」
そう言って、カレンさんも席につく。
すると、レイが口を開く。
「普通メイドは主と同じ席で食事をとるということは許されないのだ」
「なるほど...」
「私達の家は身分制度というものをあまり好んでいないのだ。」
この世界には身分の差というのがあるらしい。
もちろん奴隷も。
やったぜ。
奴隷ハーレムとか憧れるよな。男として。異論は認めん。
そんな馬鹿な事を考えていると、レイが言う。
「それでは食事を始めようか」
「おう、いただきます!」
早速料理にありつく。
.........
「うまい...」
すっ...と口からこぼれた。
「そうか、それは良かった」
ほっとした様にレイが言う。
「実はな、これはカレンの私の二人で作ったものなのだ」
「カレンさんもレイも凄いな!」
「ありがとうございます」
カレンが嬉しそうな顔で言う。
マジですげえな!
レイさんなんでも出来ちゃウーマンじゃん!
俺は二人が作った料理を平らげた。
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