第11話
「行くぞ!」
レイは剣に水を纏わせ、ヒュドラAに向かって行く。
はああああああああああっ!
ヒュドラに斬りかかると、剣に周りの水が巨大化する。1メートルくらいの剣が5メートルほどの水の柱になる。
しかし、ヒュドラはビクともしない。水の攻撃は効果が良い筈なのだが、全ステータス2倍は伊達じゃ無い。
あ、そうそう、俺とスピリは岩陰に隠れてレイを見守っています。
因みにスピリは暇だったらしくこっちに出てきた。
「すごいね〜」
スピリが緊張感の無い声で言う。
「おまえ、もう少し緊張したほうがいいんじゃないのか?」
「大丈夫、大丈夫」
「お前、何があっても助けてやらないからな」
すると、
ゴゴゴゴゴゴ...
という轟音が聞こえる。
音の聞こえたを見るとヒュドラの反撃が始まっていた。
二匹のヒュドラは同時にレイに向かって炎を吐く。
ヒュドラは青い炎を吐いてレイを攻撃する。。
だが、レイはすぐに風魔法を展開。強烈な風によって炎を薙ぎ払う。
更にレイは風を操り宙に浮き、先ほどのヒュドラAに巨大なウォーターボールを撃つ。
ウォーターボールは、水魔法の中でも初級の方にカテゴライズされるものだが、レイが使うと威力が
ヒュドラはウォーターボールを受け2、3歩退くものの、決定打にはならない。
ヒュドラ達はその攻撃に怒りを露わにしたのか、
ゴオオオオオオオオオ
と雄叫びをあげる。耳を塞いでいなければ確実に鼓膜が破れてしまっていただろう、という程の鳴き声。
「うっせ!!」
それもそのはず、だだっ広いヒュドラの巣が振動する程の音量である。
「ね、ねえ、ちょ、ちょっと上‼︎ケイ、上見て‼︎」
焦ったようにスピリが言う。
「ん、上?」
俺が上を見ると、巨大な岩が頭上から降ってきているではないか。
きっと、先程の振動で崩れてしまったのだろう。
まって。これ、やばいんじゃね?
「レ、レイ‼︎ヤバい助k...」
俺はレイに助けてもらう間も無く、全身に強烈な痛みを感じる。一度感じた事のある痛み。
ゴブリンに殴られた痛みとは比べ物にならないくらいの衝撃。
骨が体内で折れる感覚。内臓が潰れる感覚。
口いっぱいに広がる鉄の味。
不味い。臭い。
レイには短い間だったけど、お世話になった。
一回位は、かっこいいところを見せたかった...
俺は、暗い渦の中にもまれていく..........
ふと、サァ...っと血が体内に流れている感覚に見舞われる。
「ん...」
ドクッ、ドクッ...
俺の胸の左側が、一定のリズムで鼓動している。
手を動かし、足に触れてみると肉と骨の感触がはっきりと手に伝わる。
あれ、おかしいな。俺の体は岩に潰されて、ぐちゃぐちゃになった筈なのに。
「ケイ、ケイ!」
聞き覚えのある声が耳に入ってくる。
幼い、子供の様な声。
「ねぇ、ケイ、起きてよ!」
小さな、子供の手で俺の体が揺らされる。
「ん、んん...」
ゆっくりと目を開けると、心配そうなスピリの顔が目に入る。
「ス、スピリ?」
「う、うん。ボクだよ」
俺はゆっくりと起き上がる。さっき、死んだとは思えない程に体が痛まない事に疑問を持ちながら。
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