総角 その六十九
匂宮の姿がこの上もなく優雅で美しくてこの世ばかりか来世までも変わらない愛を固く誓うので、中の君は夢にも考えていなかった成り行きながら今ではかえって前から親しかった薫の君の堅苦しさよりはと思う。
「あの人は私ではなく姉君を思っていられてひどく取り澄ました態度が親しみにくく気詰まりだったのに、匂宮はお噂だけで想像していたときにはいっそう遥かな雲の上の人でほんの一行お書きくださったお手紙のお返事さえ書きづらく思ったのに、こうなってしまったこれからはもし長い間お越しくださらなかったらさぞかし心細いことだろう」
と思うのも、その心の変わりように我ながらああ情けないと思った。
お供の人々が度々咳払いして帰りを急かすので京に着くのがあまり遅くなってきまり悪くならないうちにと匂宮は気が気でなくそわそわしてもし自分の思いにまかせず来られない夜があっても心変わりでないのだからと何度も繰り返し慰めるのだった。
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